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10
1部



「?あれ、おかしいな。此処は確かジョウトのはずだったけど」

「おかしいのはお前の脳みそだ気がつけ変態」

真夜中の出来事だった。
俺のポケモン達が連れ去られたと聞いて焦っていたのは数時間前のこと。
夜も更けて、俺の今いるマダツボミの塔の最上階から見える外の景色は真っ暗闇に包まれていて何も見ることが出来ない。
どこかへ行ってしまった長老を待つべく数時間一人きりで待機していたのに。


「なんでお前と再開しなくちゃいけないわけ」

「それ、僕のセリフだよ」

「うるせえ黙れハゲ」

金髪の髪をバンダナで止めた青年を睨みつける。
やっぱりコイツが出てきたか。ゴースって名前聞いたときから嫌な予感はしてたんだ。

「相変わらず酷いね、タキ」

「お前の脳みそも随分酷いことになってるぞ、マツバ」

無言で笑顔に影を差すマツバに、どうかしたか?なんて笑顔で問いかける。
まさかこんなところで、十数年の再開をするなんて。誰が思うか。

「まあ、とりあえず久しぶり・・・とでも言っておこうか。オーキド博士は元気にしてる?」

コツコツと靴の音を鳴らしながら近づいてくるマツバに顔を背ける。
今まで座っていた座布団の上に腰を下ろして、先ほど従者のような人が入れていってくれたお茶に口をつけた。

「・・・久しぶりだな。じいちゃんはぴんぴんしてるぞ」

目の前にもう一つ敷いてある座布団に腰を下ろすマツバをジイと見つめた。
すっかりデカくなってしまった図体だが、やはり髪の色や雰囲気はあの頃であった時となんら変わってはいない。
・・・いや、少しばかり男らしくなったか。あの頃は女々しい顔でうざったかった。
すまし顔で俺の視線を受け止めるマツバは、すっかり冷え切ってしまっているもう一つ用意されていたお茶に口をつけた。

「変わらないね。その酷い目つきも、酷い性格も」

「全部酷いって何事だよ。これ、お前限定だから。威嚇してるのに気がつけよ」

やっぱりお前とは反りがあわねえ。
ため息を吐き、昔よりも数倍やりにくく面倒な性格をしたマツバを真正面から見つめた。

深い色をした瞳は今でも覚えている。
いつも隣に、瞳と同じ色をしたゴースをくっつけながら憎まれ口をたたいていたっけか。
確かコイツの親父もいた気がするがさすがに覚えていない。
なんせもう10年以上前のこと。少しの期間だけマサラに滞在していたマツバを覚えていること自体が奇跡に近い。

「・・・なんかお前、より一層陰気臭くなったな」

「失礼だな」

いつの間にか集まってきたゴースにびくりと身体を震わせた。
これだからイヤなんだ。マツバといると必ずゴースとかが寄ってくる。
滞在中同じ年だから、と半強制的にマツバとともに行動させられた時の苦い思い出を思い出して顔を顰める。
やっぱりこのマツバの陰気に誘われてくるのだろうか。
ふふ、と笑いながら数体のゴースとじゃれる姿を眺めながら息を吐き出した。

「・・・で、なんでお前が来たわけ?長老と知り合いだったのか?」

当時からは考えられないくらいに俺は成長したと思うんだ。身体も、勿論心も。
大人しく会話を続けることが出来る時が来るなんて思いもしなかった。
まあ、今は俺のポケモン達がかかっているのもあるのだけれども。

「まあね、さっき連絡入って。
ポケモンを取られるなんてどんな阿呆かと思ってきてみればキミだった、ってわけ」

「阿呆で悪かったな。・・・それで、長老は?」

「そのうち来ると思うよ、長老が帰ってくる前に見つけなくちゃね」


マツバは湯飲みの中のお茶を全て飲み込むと立ち上がった。
腰につけていたモンスターボールを手に取り、中央のボタンを押す。
赤い光に包まれながら、大きな影がそこに作られていった。


「・・・ゲンガー、か?」

「そう、あの時僕が連れていたゴースだよ」

ケケ、と笑い声を上げながらそこに現れた闇色のポケモンに目を見張る。
この十数年で此処までデカくなるものなのか。
俺の膝上に乗り、抱きついて笑うゲンガーにおお、と声を漏らす。
俺のこと覚えているのか?思ったよりもデカい身体を支えながら少しだけ笑った。

「・・・今からゴース達を呼びよせるから、離れるか部屋から出て行ったほうがいい」

「・・・わかった」

呼び寄せるとか何ソレ、怖。
ゲンガーを俺の上から下ろして、立ち上がる。
下へと続くはしごのある場所へ踵を返した。


「・・・っと、マツバ」

顔だけ振り返ってマツバに視線を向ければ、不思議そうに目を丸めて、立ち尽くすマツバがそこにはいた。
その間抜けな面を見つめながら少し小さめの声で呟く。


「―・・・、」

返事を待たずして前を向いて歩き出す。
慣れない相手に言う言葉は、顔を赤くさせた。



END


「・・・、頼んだ」

マツバの、驚いた表情が頭にこびりついて離れなかった。



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捏造ですああなんでこうなった・・・orz
別に悪気があったわけではないです。ただ一人くらい仲が悪い(良い)人がいてもいいかななんて!
ハヤ●さーんどこいったんだーい!



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