「・・・・・」
「文次郎、朝から何ぼーっとしているんだ」
「…コレハナンデスカ」
「ああ、置かせて貰っているぞ」
「ここ、俺の机」
朝、登校すると自分の机に溢れんばかりのプレゼントが置いてあった。大丈夫、自分宛てではないことぐらいわかっている。
これらのものは全て、このふてぶてしくしれっとした顔で座ってやがる立花仙蔵のものだ。
しかし、ここまでの量のプレゼント…仙蔵の誕生日はまだだ。なんの日だったか…ああ、そうか。今日はバレンタインデーか。
わかりやすい印のついたカレンダーに納得がいき、机に乗っている大荷物をとがし、教科書を机の中にしまっていく。女子達の塊から何やらブーイングは聞こえなかったことにしておく。
「文ー次郎!チョコレート貰えたか?」
「っ、いってえよ!思いっきり叩きやがったな小平太!」
人の背中を力いっぱい平手打ちしやがった小平太を睨みつけるが、まず聞いちゃいねえ。
現に、私はこんなに貰ったとチョコレートがたくさん入っている紙袋を見せ付けてきやがる。
「で、文次郎は?」
「小平太!なぜそんな酷なことを…。気を使ってやれ」
「ごめん、文次郎」
「せっかく気を使って貰って悪いがウザい上に余計なお世ry…「よう文次郎!お前どうせ一つも貰ってねーんだろ!」
「皆、おはよう。わあ、今年もすごい人気だねえ仙蔵」
突然、後頭部を殴られ、振り返れば妙に気持ち悪い笑顔の食満留三郎と善法寺伊作がいた。
次から次へと…全くなんなんだコイツ等は!!!
「ダメだよ、留三郎。文次郎はその他大勢のチョコより一人から貰えるチョコレートの方がいいんだから」
「ふむ、文次郎のくせに生意気な」
「私は彼女とかいないからたくさん貰える方が嬉しいぞ!」
「まあ、いなかったとしても貰える可能性は0だろ」
「……さっきから黙って聞いていれば…大体、バレンタインなど所詮菓子業界に踊らされているにすぎん!仮に一つも貰えなかったとしてもお前らのように騒ぎはせん!!」
「へぇー、ふーん。そうか文次郎はチョコレートいらないんだ」
あまりのしつこさにイライラし、言い返すと突如入ってきた聞き覚えのない声に、腕を組んだまま目を見開く。
いや、正確には聞き覚えはある。それはもう飽きるぐらい。
その声の持ち主を認識した途端に血の気が引いていく頭。先程まで騒いでいた小平太達は驚くほど静かだ。恐る恐る振り返れば、恋人関係にある名前がそこにいた。
顔には笑顔を貼付けて。
「そっかぁ、昨日徹夜して作ったんだけどなあ。文次郎はいらないかあー」
「……あ、ああ、いらん」
「あっ、これ余った材料でクッキー作ったんだー。仙蔵達みんなで食べて」
「ありがたくいただくとしよう」
「………」
「さて、せっかく作ったこれはどうしようかなあー。長次にでもあげてこようかなあー」
「ならば私が食べてやろうか!?」
「小平太貰ってくれるんだー。どうしよっかなー?」
「おい、」
「あーあ、せっかく作ったのになー」
「ちょっと、」
「今年は頑張ったのになー」
はじめは意地を張りいらんと言ってはしまったが、遠回しに責めているような言い方に次第に焦りが出てきた。
おい、まて。確かに俺はいらんと言ったがそれでなんで長次…しかも小平太にやらんとならんのだ。
「あーあ、」
「名前」
「なあに、文次郎」
「………いや、「文次郎」
名前をよんでみたはいいが、言葉につまり目を逸らすと不意に名前を呼ばれ、顔を上げた。目があった名前の目は妙に魅惑的に見えて、
「もう一回聞くよ?
文次郎はチョコレートいらないの?」
「………いる、」
その言葉は地球よりも重い
「意地なんか張らなきゃいいのに」
「……うるせぇ」
「て、ご感想は?」
「…………甘い」
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なwんwだwこwれwww
あれです
文次郎より上手な彼女さんが書きたかったんです!
しかも、6年途中から空気wwwww
みんな空気読めるよい子達なんですw
潮江さんに投票して下さった皆様、ありがとうございました!