○月●日 晴れ






早速、三日坊主をやってしまった。最後に日記を書いたのは四日前だ。まあ、過ぎた事を悔やんでも仕方がない。本日の分の日記を書くとしよう。
今日は珍しく委員会も任務も入っていなかったから久々に天井裏の散歩に出かけてみた。天井裏というのは本当に面白い。秘密のお喋りもその人個人の消したい黒歴史もぜーんぶ筒抜け。気配の消し方を覚えた三年の頃から続けているが、今のところ飽きる事はない。向こうで生きていれば味わえない愉しさ、私も随分と根性が腐っているものだ。それよりも、散歩の事を記そう。
最近のお気に入りは一年は組。
彼らはアホだの頭が悪いだの言われているが、忍のセンスはありすぎる程持っている。この間なんか、職員会議の時に天井裏で盗み聞きしていて、矢羽音の聞き取りに成功しただなんて言うもんだから試しに矢羽音の出し方を教えてやったら、三日後にはすでにマスターしていて、真夜中の実戦演習中に話かけてきたものだから手加減をするのを忘れて思いっ切り蹴り飛ばしてしまった。
そんな彼らに出会ったのはいつの事だったやら。調子に乗って勝負を挑んで来たもんだから、先輩の恐ろしさを刻み込んでやった。…まあ、流石にやり過ぎたかなとは思うが、そのおかげか変にぐれる事なく成長している。今のところは。……どうやら、は組の諸君は大好きな大好きな先輩を総ナメにしている天野亜美さんの事が気に入らないらしい。途中から聞きはじめたのだか、何やら壮大な"いたずら"を仕掛けるのだとか。私は基本そういう面白そうな事には口出しはしない主義だ。きっとまだまだ幼い彼らの事だ、上級生では考えもしないような面白い事をしてくれるに違いない。柔軟な思考は実に羨ましい限りだ。と、感心していると限界まで磨かれ、軽く引くだけで肉をも切断出来そうなくらい鋭く研がれた棒手裏剣が飛んできて一言、「邪魔はしないで下さいね」大丈夫さ、君達が下手な事さえしなきゃ私は何もしないさ。





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