▲月▼日 晴れ






さて、本日は担任の先生から進路の話をされてしまった。実はのところまだ決まってない。いやーまいった、どうしようか。
私は周りのみんなのように語る様な夢はないし誇らしい使命だって皆無だ。しかも、私には帰る家や家族だってない。別に就職先に困っている訳ではない。ありがたい事に、「是非来て欲しい」と言ってくれている城は沢山いる。ただ、私が悩んでいる事は「どの選択肢を選べば忍術学園を守って行けるか」ということだ。最低でも今の一年生達が卒業するまでは守っていきたいと考えている。そのためには、まず10年は城がもって尚且つ忍術学園と繋がりがある、もしくは私が繋ぐことができる場所でないといけない。そういえばあのくせ者…雑踏昆奈門にも誘われたなぁ。向こう十年間は忍術学園に手を出さないという条件も付けてきたし…しかし、忍術学園の教師っていうのもいいなぁ…。
考えることもめんどくさくなったので中庭の1番大きな木に登った。そこは学園内で1番静かでいつも何かに悩んだ時にはその場所にいく。
…が、突然耳に飛び込んできた怒声に思わず足を滑らせた。何事だと声のする部屋に向かうと、馬に頭を噛まれた潮江文次郎が喧しく走り回っていた。
あらかじめ教えて貰っていた合言葉を言い(これを言わないと兵太夫印のからくりが発動する)、会計委員会室に入れば委員各々がそれぞれ好きに自分のしたい事をしていた。そりゃあ、三日前には予算会議の予算案は出来ていたし、あとは予算会議が来るまでやることはないから当然っちゃあ当然か。
奴は一体何を言っているのか、ユリコちゃんを磨いていた田村に聞けば淡々とした声で返事が返ってきた。
なんでもいきなり委員会に現れた潮江文次郎は天野亜美さんも連れて来たらしい。そこで合言葉も言わず戸に手をかけたらしく、そこからはあわや大惨事。やっと団蔵が出て来たかと思いきや仕事はありませんの一言。それでも文句を言い始める潮江文次郎に団蔵はため息をつきながらじゃあ、と仕事を用意したそうだ。どんな仕事を用意したのかと思いきや、団蔵が書いた帳簿の解読。しかも、それも過去のものでもう必要のないもの。
まあ、そりゃあ潮江文次郎の気持ちも解らなくはないが、神崎左門の「自業自得です」 の一言を聞いてしまえば、だよなで片付いてしまう。


あーあ、潮江文次郎はどうすんだろうな




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