異常発生した台風の影響で窓の外は強風が吹き荒れ、いろんな物が空に舞い上がっては落ちてを繰り返していた。
そのせいか、本日の全部活動は無し、全校生徒は速やかに下校となった。生徒会は校内に残っている生徒の見回りをしているため、私と結衣は誰もいない教室で春の事を待っていた。
「結衣さー新しい友達欲しくない?」
「え、何いきなり」
「五人ぐらい欲しいよね」
「いや、別にいいし」
「はい、これ私オススメの時お友達リスト」
「人の話聞こうよ、レッツ言葉のキャッチボール!」
「みんないい子ばっかだからきっと仲良くなれるよ」
「なんてこった、カーブで投げてきやがった」
うおおお、とうなだれる結衣を無視して鞄の中から一枚のメモを引っ張りだす。
あー、教科書に押し潰されて折れ曲がっちゃってるや。
「はい、これオススメリスト。みんな久々知くんと仲良いみたいだからよろしくしてあげなね」
「名前……あんた……」
「………」
「ここ暫く何にもしてないし、名前の事だから飽きちゃったのかと思った……」
「失礼な!!この休日何にもしないでわざわざ隣の県に豆腐を買いに行ったとでも言いたいのかい!?」
「え、は?豆腐?」
余計な事まで口を滑らした気もしないでもないけど、まあこれで大体の下準備も出来たし上出来でしょう。
あとは学生らしく期末テストに向かって勉学に励むだけ。携帯を出してスケジュール表を開く。
「てか、テストの方はどうするー?私は余裕だけど、上位を三人で埋めるとか中々簡単には出来ないよ〜」
「…………」
「まぁ、彼女さん達にフラれた状態でテストまで残念な結果だったらプライドはズタズタに…「ほう、なかなか面白そうな事をしているな」
突如耳に入ってきた高い声、それでも男だと判るような低い音に目を見開く。動揺を悟られないよう顔には笑みを浮かべて、思考が止まらないよう働かせながら振り返った。
「貴方ともあろう人が悪趣味ですね、盗み聞きなんて」
「こんな空間で話していると言うことは聞かれる覚悟でしていたのだろう?」
「やだなぁ、ガールズトークは聞こえても見てない"聞こえない"がマナーですよ、
立花生徒会長」
あーあ、全く厄介な奴に聞かれた。
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