蒸し暑い朝とは違い、授業時にはクーラーが入る為教室は快適だ。暑いより涼しい方が勉強の効率が良くなると昔テレビで聞いた。しかし、お昼後の古典には適用されないらしく、クラスの半分以上が夢の中だ。
流石、馬鹿だの阿呆だの言われるC組。好きだコノヤロー。
私の通っているこの大川学園はそれぞれの学年3クラス編成で、ランク分けが施されている。
A組は通常、特進クラスと呼ばれていて主に学年の秀才達が集まり、テストでは上位の殆どがA組で埋まっている。
春の所属するクラスだ。
B組はまあ至って普通のクラス。勉強より部活優先で、尚且つ優秀な人達が集まっている。授業速度もC組とさほど変わらず、科学の授業なんかは、よく合同実験なんかになったりする。因みに、結衣がこのクラスだ。
……そしてC組。学年の中でも成績が下の方にいる人達が集められる。しかし、彼らは一人一人がそれぞれの分野で天才的な才能を発揮している。そんな彼らがなぜC組なのか。ただ単にやらないだけだ。やれば恐ろしく優秀なのに。
「名前ー、今日は生徒会あるから帰れないって春が」
「……ちっ、またあの先輩か…」
「なにが?」
「なんでもなーい」
下駄箱から履きなれたローファーを取り出す。形は崩れてないが、擦り足で歩くせいか、踵の部分が擦り減っている。
玄関から一歩出れば、雲一つない空から強い日差しが降り注ぐ。
「ねー名前、復讐するったってどうやるの?」
「プランの事?一応いろいろ考えてるよ」
「例えば?」
「うーん、私の中での有力候補はやっぱり佐藤ちゃんの事かな。佐藤ちゃんさ、本当は不破くんが好きなくせに優しくしてくれる久々知を好きだって思い込もうとしてんの。過去に何があった知らないけどさー、それは逃げる事と一緒だと思うんだ。それは今後よくないかなって佐藤ちゃん達にとって。だから、手っ取り早く佐藤ちゃんと不破くんくっつけて久々知の事を振って貰ったら一石二鳥じゃん?」
「まぁ、そうだね」
「佐藤ちゃんも今回の事でいろいろ成長してるだろうしねー。ドラマの主役バリにいい振り方してくれるだろうね」
プライドの高い兵助の事だ。夜のお遊びもなく振られたらどんな反応するのか、想像しただけで口元がニヤケそうになる。
「あ、それにもう一個付け足さない?」
「何を?」
「ほら、久々知くんって今までテストで一位ばっかりだったでしょ?私、一度でいいから引きずり落としでみたい!!……あんまり効果ないかな?」
「大丈夫大丈夫、あいつプライドだけは高いからね」
私達の遠く前には一際目立つ集団が一つ。今日は五人共彼女さん達との予定がないのか、なんとも楽しそうに談笑している。
君は復讐が終わった後どんな表情<カオ>をするんだろうね
楽しみだなぁ。
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