綺麗な花が沢山添えられた台の上に、大好きな笑顔を浮かべる二人、
「まだお若かったのにねぇ」
「駆け落ちだったんですってねぇ」
「本家の方々からしたら迷惑でしかないわねぇ」
「たしか息子さんがいらしたんでしょう?こちらに飛び火しなきゃいいけど……」
――父さんと母さんが死んだ
この場所は確かにその事実だけを表していた。
真っ黒な服を着た初めて見る親戚は、その口から服と同じくらい真っ黒な言葉を吐いては俺に哀れみやら同情の視線を送ってきた。
きっと普通より豪勢な葬式で、時間もそれなのにかかっていたと思う。なのに、気がつけば火葬場で、箱の中に入った二人が扉の中に吸い込まれて行くのをただ呆然と見つめていた。
不思議と涙は出なかった。
もちろん、そんな俺のことを親戚達は気味悪がった。
「あの子、どうなるのかしら」
「本家が引き取るんじゃないの?」
「勘当したって話だけど、」
「えっ、ウチは無理よ。受験生の息子がいるし」
「妹さんは?」
「だめね、犬猿の仲だったっていうし」
親戚達は疎ましそうに俺のことを見ていた。おかしいな、これからどんな目にあうかもわからないのに、ものすごくどうでもいい。
世界から色が無くなっていく。
「君が三郎君?」
白と黒の世界に突然色が差した。
ただ、その時の俺は色があろうが無かろうがどうでもよくて、返事はせずそのまま黙っていた。
その色は、俺の頭をひと撫ですると今だ喋っている親戚達の所にいき、一言二言話して、また戻ってきた。
「君の事を引き取る事になりました。ななしナマエです。よろしく」