やあ、俺のこと覚えてる?
覚えてない?ああ、いや落ち込まないでくれ別に君が気に病むことじゃあない
別に気に病んでない?それじゃあすまなかった。俺はキングオブモブ、#### ####
最近じゃあ(主に)先輩達の親の仇を殺すような目線にも耐性がついてきた。おれのスルースキルは日々磨かれている

そう、それも同室で同じ組である明石悠希のおかげ(せい)である


しかし、いくら俺が強靭のスルースキルと広い心を持っていると言っても許せない事はある














「ゆうぅぅぅぅぅぅぅきぃぃぃいぃぃいいい!!!!!」







スパンッ!と勢いよく扉を開けば教室にいたクラスメイト全員が肩を跳ね上げて驚いたというような顔をしていた。その中でもただ一人窓から逃亡を図ろうとしている同室を確認すると、素早くそいつの腰に腕を回し勢いをつけて後ろに反り投げる














「おお、素晴らしいジャーマンスープレックス」






パチパチとクラスメイト達から賞賛の拍手をいただくがそんなことに構っている暇はない

伸びているそいつの胸ぐらを掴む






「てんめえええええ!!!あれほど部屋でヤるなって言っただろうがあああああああ!!!!!」


「だってあそこは僕の部屋でもあるんだからいいだろおおおおお!!!!!!」


「イカ臭えんだよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


「痛い痛い痛い!!!それ関節技だからあああああああああ!!!!!!!!!!」




























***




「なんなの?あいつ馬鹿なの?死ぬの??」


「まあまあ、しっかしあいつもよく昼間っから盛るよなあ〜」


「万年発情期についてはどうでもいいんだよ」


隣でケラケラと笑っていた学級委員長の小太郎はおかずに向け伸ばしていた箸をぴたりと止めた
なんだ、そんなに珍しいか


「俺は別にちゃんと後始末するなら毎日シてようが昼間っからしてようが文句は言わねえよ」


「あ、そうなん?」








「ただなあ、お前自分の部屋中に嗅ぎたくもないイカ臭が充満してもみろよ、そりゃ殺意もわくっつうの」


「あ、そこ?確かに俺もやだけど」



意外と潔癖症なのな、と関心したような声を出し委員長は再び箸を進め始めた
意外とはなんだ意外とは、

俺も止めていた箸を動かし目の前にあるとんかつを掴んだ












「赤石先輩なんで久々知先輩とあんな所入っていったんだろうね〜」


「ねー、だれも使ってない教室なのにねえ」


「『あと三年したら教えてやるよ』ってどういう意味だろうね〜」



手の平の中でばきりといい音がした





「あー運動したら腹減った〜おばちゃんA定食ね」


「教育的指導!!!」


「ぶふぉ!!!!!」



「おー、これまた見事に顎に入ったなアッパー」




全く、真っ白でまだ純粋な一年生になんてこと抜かすんだこの淫獣は
いっそのこと使い物にならないようにしてやろうかとも思ったが、いかんせんここは学園中が集まる食堂
それ以前にこいつのそんな汚物見たくもない

すかさず飛んでくる殺気の様な視線を無視しつつ、授業前に部屋に香を焚きに行かなければと増えた手間に、重い重い溜息をついたのだった




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