空が茜色に染まる放課後、私たちは一組の教室でのんびりしていた。
「今日も一日長かったね」
勘ちゃんがチョコレート菓子を食べながらそう言えば、ハチ君が「食べながら話すなよ」と突っ込む。
私は彼らをぼんやりと眺めながら、幸せだなぁと頬を緩ませた。
「なまえちゃんもお菓子食べなよ」
そう言って勘ちゃんが私に最近CMでやっているチョコレート菓子を渡した。
「ありがとう、これ最近CMでやってるよね」
「うん、CMのせいかこれ今流行ってるみたい…」
チョコレート菓子を口に運び、ゆっくりと咀嚼すればチョコレートの甘さが口の中に広がる。
「相変わらず美味しそうに食べるねなまえちゃんは」
勘ちゃんが嬉しそうにそう口にした、私はそれに「そうかな?」と答えておいた。
「そうだよ!あ〜まだなまえちゃんが美味しそうに食べるの見ていたい…でももうお菓子ないんだよね、皆何か持ってない?」
「…俺は持ってないぞ」
「僕も持ってない」
「俺も、昼に豆腐食べちゃたから…」
皆が口々にそう言うが、三郎君だけ何も言わない。
「三郎は何か持ってる?」
「…ない、と言いたいが実は持っている」
そう言って三郎君はカバンから高そうな包装紙に包まれた箱を取り出した。
「三郎それ何?」
不破君の言葉に三郎君は溜息を吐いた。
「チョコレートだ」
チョコレート…
なんだか三郎君が持っているのは少し意外だ。
「三郎がお菓子を持っているなんて珍しいな」
「今朝何も食べる気がしなくてな、使用人がチョコレートは気軽に食べれて高エネルギーだからと持たせてくれたんだ」
「三郎君、具合悪かったの?」
「別にそうじゃないがたまに食欲が無いときがあるんだ」
心配でそう言えば三郎君は安心させるかのように微笑んだ。
「高そうなチョコだね、三郎食べていいの?」
「ああ、私はいらないから食べてくれ」
「じゃあ貰うね」
勘ちゃんは包装紙を綺麗に剥がし、蓋を開けた。
箱の中には色々な種類のチョコレートが入っている。
「うわー高そう」
艶々と輝くチョコレートは高そうだと思うと同時にとても美味しそうだった。
「三郎君、このチョコレート凄い高級なんじゃない?」
私がそう言えば三郎君は考える仕草をする。
「値段は分からないが、有名なショコラティエが作ったらしいぞ」
「ショ?ショコなんだって?」
ハチ君の言葉に三郎君は呆れながら「ショコラティエだ」と言った。
「ショコラティエって確かチョコレートの職人だろう?」
兵助君が目を瞬かせながらそう口にした。
「そうだ、だからそのチョコレートは美味いと思うぞ」
三郎君がニヤリと笑いながらそう口にすれば、皆の視線が私に集まる。
「な、なに?」
意味がわからない…
「…なまえちゃんが食べるの待ってるんだよ」
勘ちゃんがニッコリと笑ってそう言いながら私に一粒のチョコレートを差し出した。
「はい、食べて」
皆の視線を感じながら私はチョコレートを口に運んだ、上品な甘さと口の中でチョコレートがスーっと溶けていくのは新食感で顔が緩んでしまう。
「やっぱりなまえは美味そうに食うな」
ハチ君が朗らかにそう言えば皆は頷く、そんなに美味しそうに食べているだろうか?
「なまえちゃん、ほらもっと食べなよ」
ニコニコと笑いながら勘ちゃんが私にチョコレートを渡す。
私は一つ、また一つとチョコレートを食べれば三郎君を除いた皆がニコニコと私を眺めた。
なんだか餌付けされてる気分だなぁと思いながら私はチョコレートを三分の一ほど食べたのであった。
(美味しい放課後は彼らと
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