"人”と謂う生き物は実に身勝手な生き物だ





自身の理解しがたいモノは徹底的なまでの排除を求め、内なる畏怖から残酷なまでの仕打ちをする
そのくせ“神”などと謂う自分たちに都合の良い曖昧な存在は狂気的なまでの崇拝をみせ、勝手に崇め、その恩恵に与ろうとする
そうやってやっとの奇跡を与えられ、その幸福にその場限りの感謝をする
やがてそれは“欲望”となり、必ず“それ以上”を求めるようになる



そして、それらは必ず“破滅”へと向かう



まず、私の両親がそうだった

多くの人が視えないソレを瞳に映す私を気味悪がり、都合のいい理由を付け、集落を渡り歩いているという巫女の集団にほぼ押し付ける形で私を捨てた
ソレに語りかける私は相当気味が悪かったのだろう
集落を去るその夜、両親はひどく安心した顔をしていた

巫女達はソレらの存在は信じているらしく、対話することの出来る私を利用し、思うがままの贅沢な暮らしを手に入れた


別に彼女達も曲がりなりにも巫女で、守るべきところは守っていたし、私だってその恩恵にあやかっていたのだから咎める気はさらさらない


要するに、人は誰しも自分が一番かわいいのだ






対して、“神”というのはひどく献身的だった
求められればその期待に応えようとし、身に合わない力を使い、そしていつの間にか人に忘れられ消えていく


誰にも気づいてもらえない"ソレ"の事を伝えるのはいつだってもう手遅れで、正気を失った人の口から出るのは、



















『役たたずの化物め』









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