窓から差す光はなく、鬱屈とした空が広がり、激しい雨が叩きつける様に降っていた。

あの日とよく似た天気にズキズキと頭が痛みはじめる。

















「じゃあ、行ってくるけど本当にお留守番でいいの?」


「いや、だって私はなんの用もないし」


「まあ、三郎もいい歳だし家の留守ぐらい任せても大丈夫だろう」


「すぐ帰ってきて夕食作るからね」


「はいはい、いってらっしゃい」



その日は確か両親が役場に用があるとかで、暇な私は家で留守番することにして両親を見送った。

それから30分後の事だった、



「(あっ、雨……)」


確か二人とも出るときは傘持ってなかったよな…

家の戸締まりをして、最後にしっかりと鍵がしまったのを確認して三本の傘を手に、家を出た。







「(確か役場だったはず、)「きゃあああああ!!!」



女の人の叫び声に足を止めれば、人の波が押し寄せてきた。
人に流されながらも間を縫ってなんとか現状を確認出来る所に出る。



最初に目に入ってきたのは赤い液体で光る刃物、


その切っ先の先にいたのは倒れている母さんを背に立つ父さんの姿、


母さんの背中から血が流れていて、どんどん雨に流されていく。


血に濡れたナイフを持つ男は気味の悪い笑みを浮かべていて、その腕を振り上げ…





「三郎!?…ッ、ここから離れろ!!!」





父さんが叫ぶより先に男の身体が動いた。

刺される…!!
逃げなきゃ、…身体が動かない、なん、で、動け、動け、動けよ!!!


既に男は目の前に迫ってきて、全く動かない身体は次の衝撃に備えて目をつむった。



「ああっ!!」



耳元に響く悲鳴に瞼を開けば、強く抱きしめられていた。



「……と、う、さん…?」

































「…でね、今度留くんと……三郎くん?」


「……っ、な、何!?」


「どした?顔、真っ青だけど具合悪い?」


手がこちらに伸びて、
あの腕と重なって見えた

「う、わっ、!!」



パシッ、



伸ばされた手を反射的に拒絶すると、見えた驚く顔。


そうだ、最初から私には人に優しくされる資格など…、




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bkm
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