『何で僕なんかに』
"忌み子"
自分の事をそう言った右京は、確かにいつも通りの笑顔だった。聞き慣れないその単語の好奇心に負け、口を開いた。
「……忌み子ってなんだよ」
「まぁ、ちょっと話しが長くなるんだけどね、」
僕の家はちょっと特殊でね、まあ家っていうか一族なんだけど…その特殊の中に一つの言い伝えがあってね、
"紫の瞳を持ち、異能を持って生まれ落ちた者、すなわち呪いを受けし忌み子なり"
まぁ、左京…ああ、双子の兄さんの事なんだけど左京が言うには、ご先祖が昔妖から呪いを受けてね、それでたまにそういう人が一族に生まれる様になったそうなんだけど、とある"忌み子"がその異能を使って一族に反乱して、一時壊滅状態まで追い込んだんだって。それ以来、"忌み子"は野放しにすると危ない、力は強大だけれども残虐な事を平気でする妖の血を持つ子、人間以下の存在って思想になっていったんだって。それから"忌み子"が生まれたらなるべく屋敷の奥に閉じ込めておくんだって。ただ、殺しはしないのは、殺したらどんな祟りが起こるかわからないからだって。 でもね、いくら思想でも頭首…父さんも母さんもその他の人も口を揃えて"生まれるべきではなかった"って言うんだ。他人から必要とされないのならば、やっぱり僕は"忌み子"で、存在してはいけないものなんだ。
「……だから、僕を天女さんなんかと一緒にしちゃいけないんだよ」
ね、と竹谷くんの顔を見ると、悲しんでいるような何かに怒っているような複雑な表情をしていた。これで竹谷くんももう近づいて来ないだろう。さよならしようと立ち上がった。
「じゃあ……」
「なんだよ、それ、」
「え、」
「何が"忌み子"だよ、お前は何もしてないじゃないか。」
「僕は人間以下の価値もないんだよ」
「しるかよ、お前がどんな異能を持ってるとかは知らねぇがお前は俺達と同じ"人間"だろ!!!」
「!!」
意味、がわからない。そんな事言われたのは左京以外の人で始めてた。だって僕は忌み子で、人間以下で、危険因子で、死んでも誰も困らなくて……おかしいおかしいおかしい、やっぱりこの時代の人達は……、
「自分の事をそんな風に言わないでくれ、」
「おかしい、おかしいよ君は、何で僕なんかにそんな事……」
「そんなの…、お前が大事だからに決まってるだろ!!!」
「だ、いじ……?」
「一人もいなかったのか?……そう言ってくれる奴は、」
向こう…で……? そんな人……
「……だ、頼む、生きてくれ…!!」
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