「…犯罪じゃ」
 言い聞かせるように小さく呟きながらずっと年下の愛しい彼女を見下ろす。涙で潤んだ瞳が、乱れた吐息が、非道く着崩れた着物が、自分の付けた、キスマーク。が。すべていやらしく見えてしまって。まだ二十に満たない未成年、その事実が二十を幾つも飛び越えてしまった自分にはどうしてもブレーキになる。兎に角同意もなしにナニをやってしまえば強姦と変わらないわけで。…本人の同意さえあれば、?
「…きょうじろさん、」
「なんじゃ?」
 するりと自分の手を掴んでいた京次郎の手から引き抜いて大きなその背中へまわす。体を寄せてぎゅ、と抱き締めるとぼそりと小さな声で呟くように言った。

「すきです、」




君の笑顔が見たい。




 ぷっちん、と非道く簡素な音をたてて理性が脆くも崩壊する。こちらへ抱き付いている来羅を再び畳へ縫い付けて口付けた。犯罪くさいと思いながらけれどもあんな顔で本格的に、それもこのシチュエーションで好きだと言われてしまえばもう同意としか取れないわけで。着崩れた着物に手を差し入れると待ってくださいの言葉。渋々手を止めながら来羅の顔を覗き込んだ。
「き、きょうじろさんの答え、聞いてないですっ。な、なのにこんな、」
「…わしの答え?」
 言いながら乱暴に着物の帯を解く。
「んなもん、決まっとるわ」
 するりと着物の中から背中へ手を回して下着のホックを慣れた手付きで外した。それからにま、と笑って言葉を盛大に吐き出す。
「愛しとる」
 ちゅ、と今度は触れるだけの口付けをした。





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テーマ「人外ファンタジー」
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