「仕方ねえだろ、俺だって好き好んで熱出して骨折ったわけじゃねーよ」
「好き好んでやるだなんてとんだどM野郎ですね沖田さん見損ないました」
「俺がわざと骨折ったみたいに言うのはやめなせェ」
 はあ、と溜め息しながらほんと帰れよ、とだけ呟いて総悟が布団に潜り込もうとじたばたする。いかに折れた右腕に負担をかけず寝転がるかを模索しているようだったが、そもそも寝転がること自体が右腕を肩から吊った状態では難しいということに気付いたのか何事もなかったかのように布団へ座り直した。…あなた馬鹿ですか、と再び無表情でたっぷり間を置きながらいろが幾らか面倒くさそうに吐き捨てる。
「う、うるせェよ」
「何どもってんですか、ご自分でも今の行動はちょっと馬鹿っぽいとか思ったんでしょう」
「…」
 今日のいろはいつになく攻撃的で尚且つ辛辣である。こんなことなら朝稽古なんて行かず微熱のままいろとデート(というのは勝手な解釈だが兎に角彼女の計画した今日の予定とやら)にでも洒落込めばよかった、等と総悟が今更後悔したところで最早手遅れなわけだが。骨折したお陰なのか暴れまわったお陰なのか微熱だった熱は急上昇してしまって立ち上がるという動作すら目眩がして些か難しかった。それ以前に座っているこの状態自体も結構辛いのだが一人では寝転がれないのだから仕方がない。それに昼飯がまだなのである。
 ぐぎゅるる、と朝から空っぽだった総悟の腹が空腹を訴えた。
「沖田さんもしかしてお粥一口も食べてないんですか」
「左手じゃ食えねェんでィ」
「噫、案外不器用ですもんね」
「…」
 いいですよ、食べさせてあげます。どうぞ。そう言ってレンゲに粥を掬うと総悟の口元まで運んでくれるいろに思わずどきりとする。これは俗に言うあーんじゃなかろうか、とか考えながらも折角なのでぱくりと頂いた。やべ、ちょっとはずいぞこれ。
「仕方がないから今日は特別に看病してあげますよ。看護婦さんとお呼び」
「もっと可愛らしい看護婦さんなら言うことないんア゙ッヅ!!」
 すいまっせん手が、なんて暢気に言いやがるいろに少なからず殺意が湧く。あからさまにわざと粥を塊で総悟の膝へ落としたくせに全くもって悪びれた風もなく雑にそれを拭う姿が非常に癪だった。粥を拭う白い手をじっとりと眺めているとそういえば、とかなんとか何かを思い出したようにいろが口を開く。
「看護婦さんって、」
「なんでィ」
「腕骨折してる患者さんが"抜いて"下さいって言うと本当に"抜いて"くれるらしいですよ」
「まじでか…!」



看護婦さんは素晴らしい




「まじですよ。なんならシてあげましょうか、沖田さんがそれをご所望であればの話ですけれども」
「冗談ならはしたねーこと言わない方がいいですぜ」
「まさか。抜くどころか上に乗ってあげますよ、今日は特別に看病してあげるって言ったじゃないですか」
「…まじでかァアア!」
「それに誕生日ですし言うことくらい聞いてあげます」
「じゃあ縛らせろィ」
「はい、どうぞ」
「看護婦さん万歳!」



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ハッピーバースデー総悟ォオオオオ何日経ってんだよって話ィイイイイ!!!!
いだだだ!ごめんなさい石を!拳大の石を投げないで!
最後の最後で下品さーせん(´・ω・`)


 






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