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「新しいカラクリ」 「たまをベースに作ってみたんだけどな、ちょっと預かってくれや」 そう言って半ば無理やり俺にそのカラクリを押し付けてくる。なんでもしばらく家を空けるとかで造られて間もない彼女(というべきなのかよく解らないが)を一人にするのは気が引けるらしい。おい、俺の平穏な生活を奪うな。平穏だったことなんてないけれども。 「まあとりあえず家事だのなんだの一通りのことは出来るから邪魔にはならんだろうよ」 「そーかよ。じゃあ下の世話でもしてもらうかな、そういう意味で」 瞬間。空っぽだったカラクリの目に光が差したようで。停止していたはずの彼女はなんの稼働音もなく、まるでヒトが巡らせていた思考を止めたかのような自然な動作で俯いていた首をゆっくりともたげた。ガラス玉だった瞳が唐突に人間味を帯びる。俺の顔を認識した途端にこちらへ歩み寄ってくるので思わず半歩ほど体が退いた。 『了承しました。お世話させていただきます』 すとんと彼女が俺の目の前で両膝を付く。それから恭しく手を、 「いやいやいや!何それ!なんで下の世話で通じるの!?」 「一通りのことはできるっつっただろーが」 「いらねーだろこんな機能ゥウウ!!」 ざかざかと彼女から早足で遠ざかりながら叫ぶ。カラクリなのに下の世話ができてなんの特になるんだ、カラクリに頼むくらいならお金払っておねーちゃんに頼むわ。ピチッピチなおねーちゃんに頼むわ。とかいう俺の胸中を知ってか知らずか源外のじーさんはこいつはすげーんだぞと自信満々に胸を張って見せた。どうすごいんだ、言ってみろ。どうせ下らないんだろ。 「愛玩用カラクリっつってな、」 「…」 最早下らないとかの問題じゃあなあかった。 「ボディはムチムチのおねーちゃんそのもので腹ん中にタンク積んでっからナニを×××して×××を飲む事も出来」 「どこがたまベースだァアア!!暇かクソジジイィイイイ!!!!」 「暇じゃねえよ!!仕事だ仕事!!」 …なんでも。真面目にそういうカラクリを造ってくれという依頼が正式に申し込まれたらしい、わざわざこんな薄汚いところまでやって来てかなりの額を積まれた上に断りを入れる前から土下座を披露されてしまって引き受けたそうだ。そして今現在俺の目の前に突っ立っている彼女はその試作品、なんだとか。詰まり家事だのなんだのはおまけ機能で本機能はそっちの方だというわけで、もうなんかそんな破廉恥なカラクリなおのこと預かりたくはない。 『銀時さま』 「えっ」 『不束者ですがよろしくお願い致します』 改まってそう言うものだから頭を下げるのかと思った俺は些か甘かったようで。彼女は俺の目の前で床に腰を下ろすとAV女優よろしくがぱりとM字に脚を開脚しやがったのだ。もうやだこの子。
カモン!さあ!叩くがいい!
『痛めつけるなり罵るなりお好きなだけどうぞ。銀時さまを芯まで感じたく思います』 「何そのドM的発言!!」 「こいつはドMだ」 「…まじでか」 じゃあよろしくな銀の字、とじーさんが俺の背中を叩く。ちらりと見やった彼女は既に立ち上がっていて俺の視線に気付くと僅かに小首を傾げた。そういう姿はなかなか可愛らしいなあなんてぼんやり考える。 『ご飯の際は裸にエプロンでも致しましょうか?』 可愛らしいなんて思った自分死ねばいいのに。
‐‐‐‐‐ 企画「取扱説明書」さまに提出しました! ギリギリになってしまって申し訳ないです、それでもってこんな下品な話で申し訳ないです。 設定イメージは某えっち漫画の可愛いきょぬーの金髪ロボット(^p^) これ…故障っていうか…うん…故障っていうか…
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