線香といろが持参した絵ろうそくに100円ライターで火を着けながらぼんやりと飾ってある山崎の遺影を眺める。改めて見ると面白いくらいだらしない顔で笑っている写真だということに気が付いてなんだか笑えた。よく見ると頬が赤いような赤くないような、
「…あ、」
「あ?」
「これお前の手、じゃね?」
「…あ」
 少し離れた場所で山崎の母親と話しているいろを振り返りながら遺影の山崎とその肩を掴んでいる小さな手を指差す。葬式の時は気付かなかったがよく見ると白い手が小さく写っている。何やら楽しそうな嬉しそうな顔でだらしなく笑っている山崎の遺影を一頻り眺めた後で修学旅行の時の写真よ、と山崎の母親が山崎にそっくりな顔でやんわりと笑った。「隣にはいろちゃんがいたの」その言葉を聞いた瞬間。くしゃり。といろの顔が歪んだのが見えたような気がした。
 鈴を鈴棒で二度打って手を合わせながら目を瞑る。俺は山崎には到底適わないだろう、代わりなんて勤まらないだろう。だけどこれから先俺が生きているうちはお前の代わりに大切にするから、きちんと守ってやるからもう寝ろよ。化けて出たらぶん殴る。死んじまったお前に言うのも変な話だし申し訳ないと解ってる。ただ、勝手に手を出したくはないから、お前にはちゃんと伝えなきゃならないことだと思ったから聞いてくれ。

 …俺はいろが好きです。



サイハテの、その先




 俺はあいつの目の端にすら写っていないかも知れない。将来俺じゃない誰かと幸せになるかも知れない。でも大切にするから。あいつの中で一生俺がただのクラスメイトだろうが大切にするから心配すんな。これはお前との約束だ。
「土方、」
「なんだ?」
「お参り、長いよ」
「…ふん」
 隣に腰を下ろしたいろの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。下手くそ、と泣きながらいろが笑った。



‐‐‐‐‐
サイハテの続きだったり
おじいちゃんが初盆だったので
単品で読んでも多分問題ないはず


 






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