おいしい?という銀時の質問にはすはおいしいよと素直に実直に答えて早くも運ばれてきた三口目をぱくりと口に含んだ。そのちょこちょことした動きが小動物に見えなくもない。
「食欲あるか?なくても銀さんははすの体のために無理やり食わせます」
 言いながらはすが食べ終わったのを見計らって同じようにお粥をすくったレンゲを口元へ突き付ける。はすはどこか困惑したような表情を浮かべて一瞬銀時の顔色を窺うようにその顔を下から覗き込んでレンゲをぱくり。特に意識してやったわけではないだろうがその上目遣いに思い切りどきりと銀時の心臓が跳ねた。はすから目を逸らしていやいやいやそれはなしでしょレンゲくわえながら上目遣いはなしでしょとか一人で悶絶しつつ色々反応しそうな自分を無理やり抑え込む。はすが心配そうに顔を覗き込んでくるが残念ながら銀時は再びそれどころではない。とりあえずレンゲが卑猥物に見えてきた自分の目をくり抜きたくなった。なんて腐った目玉なんだ。
「銀、ちゃん?」
「な、なんでもねえぞ、なんでも」
 取り繕ったように言って笑ってみせ、困惑しながら小首を傾げるはすの小さな口に何故か焦って勝手にレンゲを突っ込んでしまった。むぐっ、という苦しそうにくぐもった声が聞こえて申し訳なく思いつつも残念な銀時の脳はそれすら見事にピンク色妄想へと繋げるので本格的に自分をぶっ殺したくなる。最近ご無沙汰だからかこれ当てつけかとかぶちぶち考えながら銀時は無理やりレンゲを突っ込まれて咽せてしまったはすの背中を軽くたたいた。というか何してんだ俺とか思いながらげほげほと咳き込むはすの横顔を見つめる。
「だ、大丈夫か?悪ィ、」
 銀時の言葉に話せないらしくこくこくとただ首を上下に振って頷く。その間も咳は止まらないようではすの茶色い瞳が涙ぐんでぽろりと一粒涙が零れ落ちた。そんなはすの姿に不謹慎にもきゅんとしてしまって。
「もうお前なんでそんな可愛いんだよううう!!!!」
「う、…?」
 お粥を割合丁寧にほっぽってがばりと抱き付いてくる銀時に困惑しながら、とりあえずははすも同じように銀時の背中へ手をまわした。


 








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