あー、はいはい。と銀時は名残惜しそうにはすの手を布団へ横たえさせて玄関の方へと向かう。
「えっと、はすさん宛てです」
「え、まじで?どこから?」
「えー、狩殺ですね」
 はあ?と思わず口に出したが荷物を配達しただけのお兄さんに狩殺の意図が解るはずもなく、サインお願いしまーすと忙しいのか半ば強制的に伝票とボールペンを渡された。仕方なく坂田、とサインをして何が入っているのかも解らない謎の小包を受け取る。ダンボール箱の上部にぺたりと貼られた紙には確かに狩殺の文字が印刷されていて投げ捨てたいような衝動に駆られた。とは言えはすの荷物なので捨てられないまま家の中へと持ち込む。唐突にぴるる、とダンボール箱が電子音を吐き出した。
「はあっ?」
 ぴるる、ぴるる、と鳴り響く電子音につい手に持ったままその箱を自分から遠ざける。爆弾か何かだと思ったのだがけれど音が鳴り響くだけで一向に爆発する気配はなかった。ぴるる、ぴるる。爆発する気配もないが電子音が鳴り止む気配もないのでとりあえずは音を止めるためにびりびりとダンボールの口を止めていたガムテープを剥がす。ごめんねはすちゃんの荷物勝手に開けちゃいます。とか胸中で謝罪をしながらちらりと居間に隣接するはすを寝かせた和室へ視線を投げた。銀時の手が無意味な程力いっぱいダンボールを開封する。ぴるる、と一際音が大きく響いた。
 着信中、という文字が小さい画面の中で揺れる。ダンボール箱の中には更に一回り小さな箱とその蓋へセロハンテープで貼り付けられたスライド式の携帯電話が入っていた。どう見たってその携帯電話が電子音を吐き出していたが、けれど人の電話に許可もなくあっさり出るほど銀時は非常識な人間ではない。とは言え鳴りっぱなしというのも迷惑な話なので一瞬迷ったが結局セロハンテープごと携帯電話をむしり取って通話ボタンを押しながら耳にあてた。
『もっしもーし。はす荷物届いた?あ、電話出てんだから届いてるか』
 聞き覚えのある声がだらだらとスピーカーから流れる。あれ、誰だっけ。つい最近聞いたような、とそこまで考えてぴこんと電気がつくように思い出した。そうだナギだ。
『てか電話でるのおせェよ何秒間着信したと思ってんだよ一分だぞ』
 せめて六十秒と言って下さい。
『とりあえず下着だけ送っといたから。ブラのサイズは例によってぴったりだと思うけど違ったら言えよ、触診してやる』


 








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