「失礼ネ新八!はすは17歳ヨ!お前より年上アル!」
「…え?」
「へえー、はすちゃん17歳なの?銀さん初耳」
 完全に勘違いをしていたらしい新八と、どうやら納得したらしい銀時の言葉。はすは大して気にした風もなくソファーから立ち上がると足音をたてずに新八の前まで歩み寄った。
「はす、と申します。訳あってこの場にお世話になっております」
 恭しくぺこりと下げられた頭と、丁寧な言葉遣いに若干困ったような笑顔を浮かべて新八が笑う。それから申し訳なさそうに眉を八の字に下げると後ろでやいやい言っている銀時たちにシカトをかまして吐息した。
「ごめんね、えっと、」
 言葉を選んでいる様が伺えてなんだかこちらが申し訳ないような気持ちになってくる。はすの体が小さかったというのもロリコンという答えに至った理由なのだろうが、よもやそれをストレートに本人へ言うわけにもいかず。あたふたしているところを見るとどうやら言葉を選抜できていないようだ。ふわり、と僅かにはすの淡白で色白な顔に表情が乗る。
「小さいとはよく言われますので、どうぞお気になさらず」
 それはもう言いようのない、表しようのない感情だった。気をつけていなければ見逃したかもしれない、僅かな変化だったけれど。それでも、その表情は。少しだけのったはすの表情は、綺麗だ。というのに十分な、十分すぎる代物だった。思わず新八の顔がかっと効果音をあげて真っ赤に染まる。うっかりそれを目撃した神楽と銀時の目つきがぎらりと変わってものすごい勢いで新八の頭をすぱん!とひっぱたいた。
「痛っ!!なんですか二人して!」
「なに、お前の中の悪霊を退治してやっただけだ」
「そうネ。感謝するヨロシ」
「なんなんだお前らァア!!」
 噛みつくような勢いで叫ぶ新八を後目に文句あるのか的な迷惑な視線が赤と青のダブルでぐさりと後頭部に突き刺さる。心底うっとうしそうに表情を歪めると新八は疲れたように溜め息を吐いてはすへ笑って見せた。
「志村新八と言います。16歳だからはすさんの一個下ですね。それで、」
「変態のトビラ全開アル」
「ちょ、神楽ちゃん!!?」
「んでもって極めつけはアイドルオタクっていう可哀想なやつだ」


 








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