星灯りの生徒会室で二人だけ。ちゅ、ってかわいい音をたてて唇が離れる。唇が冷えていく感じがしてさみしい。
「起きたか?」
そうだ、仕事を溜めていた彼を待っていたのだ。待っていたのはいいけれど、昨夜のレポート作成であまり寝ていなかった私は耐え切れなくてここのソファーで寝てしまった。一樹さんに起こされて、ぽやぽやしているとたくさんキスをされた。額に、瞼に、頬に、唇に。私は眠り姫じゃありませんよ。
「起きろよー。」
まだぽやぽやする。たくさんキスをされたからだと思う。ぽやぽやしてくらくらする。くすぐったくて、くすくす笑ってると呆れたように溜息が降ってきた。
「ったく」
「ふふ」
「置いていくぞ」
「やぁだ」
呆れてる割には一樹さんの表情はゆるゆるだ。私といっしょの時によく見る優しくてあったかい表情。
仕方がないってまた呆れて抱き上げられる。
「今日はいつもより甘えただな。」
「だって、お仕事多かったから。その分くらいはいいと思うんです。」
「はいはい。お姫様の仰せのままに。」
「たくさんぎゅーってしてください。」
「はいはい。」
「たくさん撫でてください。」
「はいはい。」
「たくさんたくさんですよ。」
「ははっ、わかってるよ。」
一樹さんはそう言うとまたたくさんキスをした。
額に、瞼に、頬に、唇に。
あったかいキスをたくさんたくさん。
唇に砂糖塗れの言葉が滑る
120805