君は制服を着た魚
ぴちゃっ!
プールサイドにあった水溜まりに足を浸けてみると温かった。太陽によってあたためられたコンクリートはバカみたいに熱い。
「星月。タイムの記録とってくれ。」
「はい。」
夏が苦手な私が屋上プールにいるのは体育だからだ。しかも今日は神話科と占星術科の二学科合同だ。
「あつ…」
電子ホイッスルと水飛沫の音が空に吸い込まれていった。
※※※
高く結い上げた髪、白い項に、後れ毛。
「綺麗、だよな…」
報告されるタイムを黙々と記録する琥雪。
あ、目があった。へらへら笑って見せると、口パクで何かを言って、またタイムの記録をしはじめる。
『 が ん ば っ て 』
ああ、負けられねぇや。一番はやく泳ぎきって、タイムを伝えにいこう。
「つぎー、位置につけー!」
電子ホイッスルと水飛沫の音が空に吸い込まれていった。