空に近い子どもたち
もう、夏も終わりになっていた。
放課後の屋上に吹く風は冷たくて、まだ半袖の俺には堪えた。
「4ヶ月、か…」
「以外ともってたわね。」
隣の琥雪をみると長いまつげが夕陽によって橙に染められていた。
「ありがとう。ごめんなさい。」
「謝るなって。…俺も、ありがとう。」
「彼が嫌になったら、犬飼にもどっていい?」
「馬鹿。自分で逃げ道作るなよ。」
「…ホントにね。」
本当は戻って来てもいい。けど、それじゃ意味がないんだ。互いに傷つくだけで、互いに報われない。
「俺は好きだぜ。お前のこと。」
「犬飼もバカよね。」
「う、…否定はしねぇよ。」
「ありがとう。ごめんなさい。幸せでした。」
「俺も。ありがとう、琥雪。」
幸せな別れ話を俺たちはした。
変な話だな。別れ話が幸せなんて。
それでも、
「また、明日な星月!」
「またね。」
俺は幸せなんだ。
end.