頭がガンガンする。熱い。

「あ、ぅ…」

ボール、ガラスの割れる音、悲鳴、血、月子先輩…?

「有川!有川!」
「ほえ…?」
「大丈夫か?」

星月先生が少し険しい顔をして私を見ている。

「えっと…」
「急に頭抱えて呻き始めたんだよ。お前。」

目の前には解きかけの数式。そうだ、保健室で勉強してて…

「あ!つ、月子先輩!」
「落ち着け、有川。」
「ボール、ガラスが割れて、月子先輩!」
「おい、有川!」

時間は今くらい、二階、星座科前の廊下。チラリと目に入ったグラウンドは先輩たちが野球をしている。
あんなにリアルな予知初めて。月子先輩がケガをしてしまう!
保健室から全速力で走って心臓が破裂しそう!
周りなんて目に入らない、先に見える月子先輩に叫ぶ。

「月子先輩!」
「ことりちゃん?」
「そこから、離れてください!」
「え?」

3、

間に合って!

2、

月子先輩を突き飛ばして、割れるだろう窓から遠ざけて一緒に倒れ込む。

1…
ボールはガラスを突き破って転がった。

「ことりちゃんっ!!」
「つ、月子先輩…ケガ…」

間に合った。よかった…。
私の足の周りには破片が散らばっている。
周りは何事かとざわついている。

「私よりことりちゃん!足が!」

私の太ももは割れたガラスでスパッと切れて、だらだらと流血していた。しばらくはトマトスープを遠慮しよう。

「有川!」
「星月先生、ことりちゃんが足を…!」

そこからは時間がすごく遅く感じた。星月先生に有無を言わせないという風にお姫様抱っこされて保健室にいって治療を受けて、今現在は説教タイム。2人によって。

「無茶をするな。傷が浅かったから良かったものを」
「助けてもらってもケガをされると悲しいのよ。」
「ごめんなさい…」

星月先生は顔じゃなくて良かったと頭をなでてくれた。これからは予知をみたら誰かに相談するようにとも言ってくれた。月子先輩はありがとうってぎゅーってしてくれた。



110311



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