ぼくのながい話をきいておくれ


雨天、デートの予定は言葉を交わすまでもなく俺の居室でだらけることになった。なまえが好きだと言ってくれた髪に今日はワックスを付けていない。それが気に入ったのかしばらくなまえの細い指が髪を撫でている。うっかりウトウトしていたら、

「おとぎ話に出てくる銀色のライオンみたい」

目をうっとりとさせてなまえが言った。俺は銀色のライオンが出てくるおとぎ話なんて知らない。本好きのなまえだから知っているのか、もしかしたら即興で創ったのかもしれない。

「どんな話なんだ?」
「ひとりぼっちのライオンと星の話。」

銀色のひとりぼっちのライオンは夜になると必ず小高い丘に登り、そこから星に想いを寄せる。
神話に似たような話があったような気がする。

「ふぅん」
「興味無さそうね。」

なまえはゆるく笑む。こういうところが好きだ。花がほころぶと例えるのかはわかんねえけど。

「そのライオンと星って結ばれんのか?」
「さあ?」
「なんだそれ」
「忘れちゃった。哉太はどうなってほしいの?」
「そりゃまあ、結ばれるにこしたことはねえんだろ。」
「じゃあ、そうしよう。銀色のライオンとその星は結ばれる。」
「いいんじゃね?」
「うん。」

なまえの目がいたずらっぽく細められる。

「私と哉太みたいにね」
「話はちょっと違うけどな」
「気にしない、気にしない」

くすくす笑いあって、下手で幼稚なキスを繰り返す。

溢れて止まないこの感情が愛しいというものなんだろうな。



ぼくのながいをきいておくれ

130114


  
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