不思議の国にて心中





「琥雪せーんぱいっ」
「おっと…」


職員室から教室に帰る途中、琥雪先輩を見つけると、僕は迷うことなくその背中に抱きついた。

「木ノ瀬?」
「こんにちは。琥雪先輩。今帰りですか?」
「こんにちは。これから図書室。課題しないといけないし。…どうかした?」

先輩の腰細いな…。この華奢な身体に五臓六腑はちゃんと備わっているのか疑いたくなる。
抱きつくのをやめて先輩の隣を歩く。

「ちょうどよかった。僕も図書室に行こうと思ってたんです。先輩教えてください。」
「科が違うから一般教科しか教えられないよ。いいの?」
「はい。先輩の教え方は分かりやすいと聞くので、僕も教えてもらいたいです。」
「誰から聞いたの?それ。」
「夜久先輩からですよ。」

そっか。そう言って苦笑い。でも、その苦笑いさえ綺麗なんだから反則だと思う。そういえば、綺麗な人は怒ったときが一番美しいんだっけ?

「いいよ。木ノ瀬はのみ込みがはやそうだから苦労しなくて良さそう。」
「僕ですよ?先輩に迷惑かけるわけないじゃないですか。」
「頼もしいねぇ。」

くすくす。と綺麗に笑う。
思い返すとこの人は綺麗という言葉が常々思い当たる。見目然り、行動然り。見目なら夜久先輩もだけど、どっちかといえば可憐という言葉が似合う。そしてお転婆だ。

「で、何を教えてほしいの?」




琥雪先輩の略法です。
冗談に受け止められるは今のうち。




110102


  
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