手の花
手袋をしてくれば良かった。
プレゼントしてくれたペアリングに浮かれて、つい忘れてしまった。
「琥雪ちゃん!」
「おはよ。」
「おはよう!」
仕方なしにポケットに手をいれて、幾分かあたたかくなっているカイロを握る。
「琥雪ちゃん、また手袋忘れたの?」
「うん。」
月子ちゃんはちゃんと手袋をしている。そう言えば、私は手袋をどこに置いているのかもうろ覚えだ。
「はい、片っぽ。」
「うん…?」
月子ちゃんは左の手袋を私に渡してつけるように促した。
「月子ちゃんの手が冷えちゃうよ。」
「大丈夫。手を繋いだら寒くないから。」
月子ちゃんの温かい手が私の冷たい手をギューッと握る。
「女の子は体を冷やしちゃダメなんだから。あ、今度手袋買いにいこう!」
「うん。お揃いにしよっか。」
「するする!」
後日に郁にそれを話すと妬いたのかお揃いのマフラーをくれた。ちょっと可愛いと思ったのは内緒。
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