星葬された少女の想い




あるところに少女がいました。
少女は甘いお菓子やリボンと同じくらい夜空が大好きです。毎晩少女のお兄さんを急かしては夜空をうめつくす星たちの御話を聞きます。
ある夜、夜空をたくさんの星たちが流れ堕ちていきました。少女はその星たちを追いかけます。

「まって、お星さま!」

追いかけても、追いかけても、流れ堕ちる星たちには追いつけません。
とうとう、少女は追いかけるのをやめて泣き出してしまいました。
追いかけてきたお兄さんが少女を慰めます。それでも少女は泣き止みません。少女は言います。

「お星さまは死んじゃったの?」

お兄さんは言います。

「お星さまはきえたけど、そのお星さまはお前をちゃんとみていてくれただろ?」
「うん。」
「じゃあ、泣いてちゃいけないよ。それに、お星さまはまた生まれる。」
「ほんと?」
「本当。」

少女は星たちが流れ堕ちる夜空を涙で濡れた瞳で見上げます。

「きれい。」

少女は星たちに『おやすみなさい』と言ってお兄さんに手を引かれて帰りました。






その夜、少女は不思議な夢を見ました。瓶詰めにされた銀河を手に旅をする夢です。少女は瓶の蓋をあけて夜空に星を放ちます。
少女はその瓶が空っぽになるまで旅を続けました。




星葬された女の想い






110330


  
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