空を昇っていく雪は誰かに似ていた




その日は雪が降り積もっていて、敷地が山奥にあるせいか寒さもひとしおで、

雪合戦なんてしたくもなくて。

「おら、よっ!」
「はぁ…」
「避けるなよっ!」
「私はドMじゃありませんので。」

生徒会の皆さんと裏庭で雪玉を投げ合ってます。

「琥雪さん。雪玉に石を入れてはいけませんよ。」
「何言ってるの。これはちょっと汚れた雪の塊だから。石じゃないから。」
「琥雪さん…」
「琥雪ちゃん、水で固めるのってアリかな!?」
「アリ。」
「…そのためのジョウロでしたか」

チームは青空、月子ちゃん、私で、現在は雪玉をせっせとつくっている。

「向こうもなかなか玉切れしないねぇ。」
「しぶといですね。」
「でも、その分たくさん作れるね。」
「はい。琥雪さんは雪玉をつくっていてください。石なしで。」
「はいはい。」

「ぬぬ〜。反撃してこないぞ?」
「颯斗が何か考えてやがるな…」


どうやら向こうは玉切れしたらしい。

「今です!」

青空の一声で玉を投げ始める。向こうも反撃してくるが、雪玉をつくる分タイムロスがある。
断然、こちらが有利。
月子ちゃんの玉は見事に不知火先輩にあたったらしい。何か変なうめき声が聞こえた。

「何でこんな固いんだよ!?」
「水で固めましたけど、特にルールもなかったので、問題はありません。」
「琥雪ー!!」
「何か。」
「くそっ!腹立つ!」
「ぬわ〜!!ぬいぬい危ない!!そらそらが…!」
「ぐえっ…!」
「不知火先輩OUT。」
「えいっ!」
「ぬあーっ!!」
「天羽OUT。」
「僕たちの勝ちですね。」

月子ちゃんの玉が天羽にあたり、私たちの完全勝利だ。

「眠…」
「冷えましたし、生徒会室に戻りましょうか。」
「ったく、お前ら容赦ねぇな…」
「ぬー、お腹空いたー」
「はやく戻ってお茶にしよ。」


コートのポケットに手を突っ込んで足跡を踏んでいく。
冬はまだ終わりそうにない。

「琥雪ちゃーん!」
「置いてくぞー!」
「はいはい。」

雪に映る影の色を表す術を私はまだ、知らないでいた。




110111


  
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