■追記
あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな
ごにんばやしの ふえたいこ
きょうはたのしい ひなまつり
幼稚園で習ったばかりなのかどうにも拙い歌は家族を和ませるには十分だった。
「琥春ちゃん、だっこして!おだいりさまとおひなさまかざるの!」
「ふふふ、はいはい」
朝から琥雪はご機嫌なのは母さんが着せた赤い着物のおかげだろう。髪も品良く結ってある。
かわいい。
俺は朝から姉さんに叩き起こされて雛壇を組み立てた。なんで俺がとも思ったが琥雪にお願いされたら仕方が無い。
「今日はちらし寿司に蛤のお吸い物ね。」
「何でこの時期の蛤って高いのかしらね。」
「はまぐり?」
「そう、蛤。」
「蛤は他の貝とは合わさることがないから、いつか琥雪ちゃんにぴったりの素敵な人が出来て幸せな結婚生活ができますようにっていう願掛けの縁起物なんだよ。」
父さんが説明するも琥雪は首を傾げる。
「まだ、琥雪には難しいな」
「う?こゆ、今もしあわせよ。だって大好きなお父さまとお母さまと琥春ちゃんと琥太にぃがいるもん。」
家族が顔がほころんで、みんなが琥雪を抱きしめる。
「たかいたかーい」
「きゃーっ」
「あなた落とさないでくださいよ!」
琥雪が嫁に行く時父さん泣くんだろうな。