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 何処までも広がる黒の世界。 決して時が進むことはない、この世界にたった一人の少年。 鎖でギチギチに拘束された彼の意識が戻ることはない。
 それは、一つの蛇の優しさゆえの。



 違和感。
 一言で言い表せばこの一言に尽きる。 でも、何に違和感を覚えるのかはわからない。 でも、この違和感を私はずっとずっと、それこそ気がついてからずっと覚えているんだ。
「んー」
 電子の世界で今日も考える。 現在私は如月モモと言う子とともに居る。 ご主人かと言えば何かが違うと自分の中の何かが叫ぶのだ。 だから如月モモとは友達という間柄で決着がついた。
「エネちゃんどうしたの?」
「いや、そう言えばモモさんの隣の部屋って空き部屋なんですね。 何かに使わないんですか?」
「え、そうだっけ? あれ?」
 そう言ってモモは首を傾げた。 その反応にまた違和感を覚える。
「ずっと空き部屋なんでもったいないですよ?」
「んーごめん、なんか空き部屋って想ってなかったんだよね。 変な話だけど。」
「どういうことでしょう?」
「いや、なんかいつも誰かが隣の部屋に居る気がしてるんだよ。 本当に変な話だね。」
「でも、少し分かります。 こういう感覚なんて言うんでしょうね。 既視感?」
「どうだろ? 私は頭良くないからなぁ。」
 一瞬、貴方の側には頭がいい人がいるじゃないですかといいそうになったがその言葉を飲み込む。
 何故なら、そんな人モモさんの近くには居ないから。 唯一残った家族であるお母さんだって至って普通だ。 頭がいい人なんて、私達の知る限り居ない。 そりゃまあ。 遥は頭良かったけど。
「お母さんたまに、お兄ちゃんって言う時があるんだ。 でも、私一人っ子だし誰それってなったんだよね。」
「モモさん、これ私の独り言と思ってくれていいんですけど。」
「何?」



「何か、忘れているような気がするんです。

 大切な存在が私達の近くに居たはずだって、感じる時があるんです。」



 モモの部屋の隣、その空き部屋にはきっといるはずだった人が居たんじゃないかって。
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