高校生組がSAO入りする話【17】
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 翌日、キリトからのメッセージで目が覚めた俺は本文に目を通してポカーンとしてしまった。
「……は?」
「どうしたのシンタロー?」
「いや、アスナとキリト結婚したらしいぞ。」
「え? ……えええええ?」
「んで、俺とアヤノに相談があるんだと。 午後空けといてくれって。」
 キリトとアスナは昨日の件で、本部に一時退団を申請しに行くらしい。 俺はその要求をのむように、ヒースクリフに半ば脅迫とも取れるメッセージを送る。
 若干昨日の件についての苦情紛いのことも書いてやった。
「さて、朝ごはん作るよ。 何がいい?」
「お任せするよ!」
「ったくお前はいつもそうだな。 ったく、待ってろ作ってくる。」
 呆れ気味にベッドから立ったシンタローの後を目で追いながら、アヤノはその後姿に見惚れている。 こうやって料理をする彼の背中を見るのが大好きなのだ。
「ほら、アヤノ。 ボーっとしてないで着替えてこいよ。」
「あっうん!」
 慌ててベットから飛び降りて着替えに行く。 戻ってきた頃には、テーブルの上には彼の作った料理が並び、シンタローもまた着替え終わった後で、ワクワクしながら席に付き、シンタローと口をそろえていただきますと呟いて口をつけた料理たちはとても美味で、ほわっとした温かい気持ちになった。
「美味しいなぁやっぱり。」
「当たり前だろ。」
 そういってニヤリと笑う彼が愛おしくて、可愛らしくてアヤノはまた笑った。
「そういや、アヤノ。 コノハとエネはどうしてる?」
「あ?そういえばあまり会わないもんね。 元気そうだよ。 今度4人で最前線行ってみたいねって話してたんだよ。」
「そっか。 まぁ、行けたらいいな。」
 アヤノは普段、コノハとエネとともに行動している。 最前線の攻略に出ているはずなのだがなぜだか一回も会ったことはない。
「コノハさんは《無慈悲の大剣使い》って呼ばれてて、エネさんは《舞姫》って呼ばれてるらしいよ! すごいね!」
「お前だって《茜色の槍使い》とか呼ばれてんぞ。」
「えっ!? 嘘っ!?」
「ホントホント。」
「わぁあ、かっこいい! すごい!」
 はしゃぐアヤノに、苦笑しながらシンタローはお茶に口をつける。 時刻は午前10時過ぎ、キリトとアスナがくるのが午後13時だからまだまだ時間は余っている。
「アヤノ、この後どうする?」
「うーん、どうしよう。 暇だよねぇ。 エギルさんのところにでも行く?」
「行ってどうすんだよ……」
「あはは、そうだね……」
 考えた結果、街をブラブラすることにした。 手をつないで、魅せつけるように、デートをするのも悪く無いと感じたから。
 ちょっと前まで、こんな日々がくるなんて微塵にも思わなかったのに。
「アヤノ、お昼はどうする?」
「んー、何がいいかなぁ。 シンタローとアスナ特製のアレつかった奴がいいなぁ。 未だある?」
「うん、この間アスナと作ったから沢山あるぞ。」
「やった! じゃあさ、この間アスナが作ってたサンドイッチみたいなの食べたい!」
「よっしゃ、じゃあ帰って作るか!」
 そして、ひと通り街を歩いた後、家へと帰りお昼ごはんを作ることにし、数十分後――サンドイッチを食べ終わり、後片付けが終わった頃にキリトとアスナは定刻通りにやってきた。
「えっと、最初になんて言ったらいいんだろう……?」
 もじもじと、喋り始めたキリトに呆れつつ、シンタローはこの前に続く言葉を待つ。 すると、早くしろと言わんばかりに隣に座るアスナが急かした。
「ちょっとキリト君、しっかりしてよ。」
「なんかアスナの親に挨拶にきた気分だよ……緊張する。」
 そのキリトの発言にピキッと、表情を引きつらせたのはシンタローとアヤノだ。
 なんだ? つまり、俺とアヤノは年増と言いたいわけですか? いい度胸だ、のった其の喧嘩。
 笑顔に隠しつつ、そんな事を想っていたらアヤノがまた笑顔で口に出してしまう。
「ねぇ、シンタロー。 キリト君、喧嘩売ってるみたい。」
「そうだなアヤノ。 売られた喧嘩は買うのが道理だよな。」
「ちょ、ちょっと待て! な、なんで怒ってるんだよ!」
「今のはキリト君が悪いよ。 全く、デリカシー無いんだから! ごめんねシンタローさん、アヤノ。」
 苦笑しながら、アスナがフォローを入れると表情を一変させたアヤノとシンタローに安堵しながらキリトは咳払いをして、本題に入った。
「えっと、メッセージで伝えたとおり昨日の夜に俺とアスナは結婚した。 んで、今日二人に相談したいことと言うのは……」
「22層って覚えてる?」
「あれ、22層ってシンタローの……」
 22層はかつて、シンタローが過去との決着を付けた場所だ。 モンスターが出ず、穏やかな雰囲気の場所。
「えっとね、22層に家を買って住もうかっていう話がキリトくんから出たの。 でも、私達のお金だけじゃちょっと足りなくて……」
 その申し訳無さそうな表情から察したシンタローがニヤリとした後に、言った。
「なるほど、半分お金を出して一緒に住まないかってことか。」
「ああ。 ……どうだ?」
「いいんじゃないか? そろそろこの部屋も狭いなぁって感じてたし……アヤノはどうだ?」
「私も賛成!」
 シンタローの肩に頭をちょこんと乗せながらアヤノは微笑んだ。 其の返答にアスナとキリトも安心したのか、顔を見合わせ微笑む。
「キッチンには拘りてぇなぁ。」
「そうだねー」
 アスナとシンタローはワクワクしながらキッチンについて話し込んでいた。 一方、キリトとアヤノは二人が作る料理について胸をはせていた。
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