恋を電波に乗せて | ナノ



「ね、どうしたらいいと思う?」

夕日が差し込む教室には、私と源田がふたりきり。普通に考えたら何て素敵なシチュエーションなんだろう!!って思うんだけど、おあいにくさま私はこの源田幸次郎という男に恋愛の相談の真っ最中なのだ。まぁおかしな点があるとすれば私が想いを寄せる相手は、目の前に居るこの源田なのだけど。あるとすればじゃなくて完全にあるよね。知ってる。


「意識されてないのかなって思っちゃうときもあるんだー」
「そうなのか?」
「まぁね」

源田は私がどれだけ後ろから抱き着いてもへらりと笑うだけなんだもの。正直に言って脈がない気がする。


「でもまぁ、お前は可愛いんだし、大丈夫なんじゃないか」
「か、可愛い!?」
「どうした?急に立ち上がって」

この天然タラシは自分が今重大なことを口にしたことを分かっていないのか・・・!!!!まさか好きな相手にか、可愛いだなんて言われるなんて・・・・・!!!


「いや、可愛くはないんだけどさ、こう、今までの関係が崩れそうで、好きって言えないっていうか」
「好きなら好きって言えばいいだろ?面と向かって言いにくいならメールとか手紙とか、伝える手段はたくさんある」
「な、なるほど・・・・」


そうか、好きなら好きって言えばいいだけなんだよね。言いにくいならメールとか・・・・・・うん、そうしよう。


「ありがとう源田!!早速メール送る!!!!」
「おう」


アドレス帳から"源田"を探してぽちぽち文章を打つ。ストレートな言葉を二言ほど打って送信!!!!私がぱたりと携帯を閉じるのと同じくらいに源田の携帯が鳴る。源田は携帯を開けてしばらく操作した後、一気に顔を赤くした。


「なっ、おまっ」
「私が好きなのは、源田だよ」

そのままにんまりと笑ってやると、源田は顔を赤くしたままぽちぽち何かを打って携帯を閉じる。同時に私の携帯が鳴る。ディスプレイにはメール一件"源田"の文字。メールを開けるとそこには"俺もお前が好き"の文章。私はとりあえず赤い顔をしたままの源田の唇に自分のそれを重ねてやった。





0812 源田

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -