のいちごはだれのもの | ナノ



恋って甘酸っぱくて、私が好きないちごみたいなものだと思う。甘いだけじゃなくて、ほんのり酸っぱくて、私の初恋の味。私がヒロトくんに恋したきっかけがいちごだった。私がおひさま園にいた頃に、おやつにショートケーキが出たことがあった。その頃には風介くんも晴也くんも、もちろんヒロトくんも居たから寂しくなんてなかった。話が逸れちゃったね。とにかくその頃の私はいちごが大好きだった。よく庭に生えているのいちごを口にいれては瞳子さんにぺってしなさいって言われてた気がする。とりあえずそれくらいいちごが好きだった。滅多に出ないショートケーキの上のいちごを、後で食べようとお皿のはじっこに大事に大事に避けた。それを見た晴也くんは、私がいちごを嫌いなのだと勘違いしていちごをぱくりと食べてしまった。私は大好きないちごを食べられてしまって、泣いてしまった。そんなときにヒロトくんは私の口にいちごを放り込んで、僕いちご好きじゃないんだって、ほんとは食べたかったはずなのに私を泣き止ませるためにいちごを私にくれたのだ。急に口の中に大好きな甘酸っぱい味が広がって、私の涙は嘘みたいに引っ込んでしまった。ヒロトくんを見るとヒロトくんはいい子だね、と微笑んで私の頭を撫でてくれた。それが私がヒロトくんに恋したきっかけだ。もちろん初恋。初恋は叶わないだなんてだれかさんが言ってたけれど、私の初恋は数年経った今でも叶ったまま。小さい頃はただいちごが好きなだけだったけれど、今はヒロトくんと一緒に食べるいちごが大好き。


「確かにあげた覚えがあるよ、いちご」
「でしょ?あれがヒロトくんに恋したきっかけじゃないかな」
「昔の僕いい働きしたね」
「ふふっ、そうかもね」
「あ、今日はね、ショートケーキ買ってきてるんだよ!!」
「タイミング良いね!!」
「僕のいちごは君にあげるよ」
「ヒロトくん好き!!」
「僕は大好きだよ」


ヒロトくんがぱかりと真っ白な箱を開けると中には可愛らしいショートケーキが4つあった。ヒロトくんを見ると、晴也と風介の分だよとくすりと笑った。今日のショートケーキは4人のものだけど、このいちご味の甘酸っぱい思い出は二人だけのもの!!



のいちごはだれのもの




0912 基山
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