動機はシンプル | ナノ



このエイリア学園ではランクが全てであり、ランクが上の者には従わなければならないというのが暗黙のルールだった。従わなければ殺されるか記憶を消されるか、とにかく何をされるか分からない。生きるか死ぬかなら生きるを選ぶことなんて明白だ。死にたい人なら別だけれど。よってセカンドランクの私がマスターランクの人に従うことは至極当然のことなのだ。まあ命令されるのはタオルを持ってこいだとかそういう簡単ことだけだけど。この前はガゼル様にアイスを買ってこいと言われた。ガゼル様はアイスが好きだと知っていたから、買ってこいと言われる前に買っていたのですぐにガゼル様に持って行った。ガゼル様はお前は偉いね、と頭を撫でてくれた。ようするに従うのも嫌なことばかりではないのだ。グラン様は嫌がらせばっかりしてくる気がするけど。グラン様はどうして私にばかり嫌がらせをするのだろうか。


そんなことを考えていたら、廊下でたまたまグラン様に会ってしまった。暇そうにしていたグラン様は私を見付けるとにんまりと笑った。ちょっとというかかなり嫌な予感がした私は素早くグラン様の横を通り過ぎようとしたけど、グラン様はすれ違い様に私の腕をこれでもかというくらいの握力で掴んだ。そして可哀相な私の腕を掴んだままグラン様は近くの小部屋に私を押し込んで、そのまま小部屋の壁に私を押さえ付けた。私の背骨は押さえ付けられた衝撃で微かに軋んで悲鳴をあげた。グラン様はにんまりと笑ったままだ。


「・・・グラン様」
「ねぇ、痛い?」
「いたい、です」
「へぇ、痛いんだ」

グラン様は嬉しそうに笑って、じゃあこれは?と私の衿元を開けて舌を滑らせ始めた。グラン様の舌が私の肌を這う感触にぞわりとした。

「やっ、グラン様・・・」
「ね、どんな感じなの?」
「やめて、ください」
「君は俺に逆らっちゃ駄目なんだよ」

十分理解してるでしょ?と言ってからグラン様はもう一度やめて下さいと言おうとした私の唇に噛み付いた。ぬるりと舌が咥内を無茶苦茶に掻き回す。抵抗しようとグラン様をの体を押すもののグラン様は中々離そうとしてくれない。だんだんと酸素が足りなくなって、自然と涙が溢れてきた。もう駄目だ、そう思ったときにやっとグラン様は私から口を離した。途端に入り込んできた酸素に少し噎せている私とは反対にグラン様はいつも通りの呼吸をしている。


「グラン様は、どうして私にこんなこと・・・・」
「分からないの?」
「分かりませんよ、グラン様のことなんて」
「ふーん、分からないんだ」
「どうして・・・・」
「教えてほしい?」

グラン様の唇がいつもみたいに弧を描く。私がこくりと頷くと、グラン様は私の頬に口付けを一つ落としてから私の耳元で囁いた。


「好きだから、だよ」




0902 グラン

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テーマ「人外ファンタジー」
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