さよならプラネット | ナノ



青くて澄んでいた綺麗な空はいつからか灰色の仄暗いものになってしまっていた。生き物達は次々に居なくなってしまった。私が好きだったリスだって、風介が好きだった猫だって晴也が好きだった犬だってヒロトが好きだったうさぎだって、みんなみんな居なくなってしまった。死んでしまった。地面には様々な死体が転がっていて、死ぬことがとても身近なことになってしまった。地球は滅びるんだと、ニュースで言っていた。最初はみんな達の悪い冗談だなんて笑っていたけど、やっぱり真実なんだと知ったらみんな慌てだした。助かる術はないのか宇宙に行く術はないのかとみんな血眼になって探した。けど救われる道なんてどこにもなくて、結局は生き物は惑星と一緒に滅びるだけなんだなぁとどこか麻痺してしまった頭でぼんやりと考えたとき、大きく地面が揺れた。多分どこかの大陸が崩れ落ちたんだろう。生き物の死なんて一瞬だな、なんて思った。テレビではもうあと少しで地球が終わると騒ぎ立てていた。時計は夜の11時半を指していた。テレビの向こうではなくなった大陸の様子が写されていた。テレビ局の人は勇敢だなぁ、わざわざ死にに行くなんて。そこまで考えて私の家の周りはどうなってるんだろうと考えて腰をあげようとしたらそっと隣に座っていた風介に手首を捕まれた。


「どこに行くの」
「ちょっと家の周りを見に行こうかなって」
「外に出たら危ないよ」
「この地球に安全な場所なんてもうないよ」
「そう、だね・・・そうだった」
「・・・・・風介も行く?」
「いいの?」
「どうせ死ぬなら風介と一緒がいい」
「私も君と一緒がいい」


風介と二人で外へ出る。また少しだけ地面が揺れた。多分また、どこかの大陸が地球の中に沈んだのだろう。そうして人類は生まれた地球へと還っていくのだ。風介が私の手をぎゅっと握った。風介の手は少し汗ばんでいて、かすかに震えていた。

「風介は死ぬのが怖い?」
「怖くないはずないでしょ」
「うん、そうだね」
「でも、君となら死ぬのも怖くないかもしれない」
「そ、っか」

私もそうかもしれない、そう呟くのと地面が割れる音がするのはほぼ同時だった。私は風介の手を更に強く握る。風介はそのまま私を抱きしめた。


「絶対に離さないでね」
「うん、死んでも一緒に居よう」
「約束、だからね」
「絶対に離さないでいてあげるよ」
「風介」
「なに」
「大好きだよ」
「私も」




0828 涼野

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