キスしませんか | ナノ



「キ、」

その音は酷く震えて、リュウジの喉につっかえた。彼はもう一度息を吸って、今度はつっかえずにでもやっぱり震えた声で言葉を紡いだ。


「キス、してもいいか・・・・・・?」


私はいきなりのことでびっくりした。多分私がきょとんとしたからだろう。リュウジは赤くなっていた顔を更に赤くして嫌ならいいんだ、と消えそうな声で言った。嫌なわけじゃない、むしろうれしい。けどまさか、まさか二人きりでの帰り道にあの純粋なリュウジの口からキスしてもいいかだなんて。普通はびっくりするよね。


「いいよ」


私がそう言って目を閉じて少しだけ上を向くと、リュウジの喉からはごくりと音がなった。緊張しすぎじゃないかな。リュウジは少しだけ私に近付いて肩に手を置いて、顔を近付けてきた。だけどあと残り5センチというところでリュウジは止まってしまった。心なしか肩に置かれた手も震えている。そのまま10秒、20秒とただただ時間だけが過ぎていく。もう、じれったいなぁ。リュウジからしてくれないなら私からしちゃうんだから。



ちゅっ




0824 緑川

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -