夏の暑さも掻き消す | ナノ



じりじりと照り付ける太陽に騒がしく鳴く蝉、白い雲が青い空に映える季節。皆がたった一度の夏にわくわくしながら好きなように予定を立てて目一杯今を楽しむ中、私はクーラーの入っていない暑苦しい教室でたくさんのプリント達とランデブーだ。要するに貴重夏休みを献上して補習という名の嫌がらせに身を投じているのだ。まぁ確かに英語が12点なら補習にもかかりますよね。分かってるんだけど英語だけは苦手なのだ。だって私日本人だし?英語なんて勉強しなくても出来るのが普通だ、とか風介が言ってたけど無理な話だよね。奴とは頭の出来が違うんだ、悪い意味で。ということで私はこのプリント達と戯れているのだが、おかしい。すんごくおかしい。何がおかしいのかというと、

「ねぇ、ここちがうよ。ここは現在形」

君はほんとに英語できないんだねぇ、なんて困ったような顔をするヒロト。何で君がここにいるんだ。

「どうしてヒロトがいるの」
「どうしてって、君がいるから」

ヒロトはきょとんとした顔をする。ヒロトはちょっと残念ではあるけども確実イケメンの部類に入る顔立ちだ。ヒロトの表情はくるくる変わってそのどれもがかっこよくて困る。きょとんとした顔までもイケメンだとか、神様って不公平だよね。あーあ、私も可愛く生まれたかった!!

「ヒロト、英語得意だったよね?」
「得意とまではいかないけどね。まあまあだよ」
「ちなみに何点だった?」
「84点」
こいつばかみたいに点高い!!え、私の7倍あるんですけど!!!!

「君は12点だよね。ただのおばかさんだよ」
「好きで12点なんてとってませんー」
「そんなことしてたらまた晴也にばかにされるよ」
「晴也もほとんど点数かわんないもん!!というか、ヒロトこんな補習出ても楽しくないでしょ?帰ったらいいじゃない」
「だーめ」
「何で?」
「今日は君と遊ぶって決めたもん」

だから僕わざわざ補習来て君の事待ってるんだよ、とか言うヒロトは女の私から見てもすんごい可愛い。

「だから早めに終わらせてね」
「・・・・頑張る」
「それに補習に出たら大好きな君に毎日会えるんだよ。僕夏休み中に君が足りなくなったらどうしようかと思ったよ!!」
「・・・・別に補習なんかに来なくても大好きなヒロトになら毎日会いに行ってあげるのに」
「それ、告白って受けとっていい?」
「いいよ?」
「やっぱり僕、君の事好きだよ」
「・・・・・私も」




0721 基山

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