もっと暑くなったじゃん | ナノ



空は凄く晴れ渡っていて、遠くの方にある大きな入道雲とじっとりと肌に張り付く制服が夏だと言うことを実感させる。空が好きだから、そういう理由もあって私達は学校の中で一番空に近い場所に居る。ようするに屋上に居る。屋上は影があんまりなくて、少しだけの影に私と風介は座っていた。屋上は授業中なので静まりかえっていて、たまに聞こえる音と言えば私の携帯が晴也からのメールを知らせる為に出す着信音だけだった。風介は隣で虚ろな目をしてアイスをかじっている。

「暑い」
「夏だもん」
「暑い」
「風介はアイス食べてるからいいじゃん」
「君だっていちご牛乳飲んでる」
「温い」
「そうか」


じゅるる、と音を響かせて私のいちご牛乳が空のサインを出した。空になったパックをずっと遠くにあるごみ箱に投げたけど、やっぱり紙パックは入らずにごみ箱の淵に当たってまぬけな音と一緒にコンクリートに落ちた。

「前から思っていたが、いちご牛乳は美味しいのか?」
「美味しいよ!!風介も飲んでみたら?」
「そうだね、けど私はこれで十分だ」


いつの間にか風介の顔がどアップで私の網膜に飛び込んできていて、風介のアイスを食べていた唇がひんやりと冷たいな、なんて考えてから、チューされたことに気付いた私は多分馬鹿なんだろう。


「・・・・・・甘いな」
「ふ、風介!?ちょ、今っ」
「したかったからしただけだ」


そう言ってまた風介は自分の残り少ないアイスにかぶりついて、その棒をごみ箱に投げる。虚しくもその棒は私の紙パックとは違いごみ箱に入った。悔しい、とても悔しい。ちらりと隣を見ると風介は唇についたアイスを赤い舌で舐めていて、とりあえず仕返しにと私は風介の冷たい唇にかぶりついてみた。風介は一瞬びっくりしたみたいだけど、すぐに風介から離れようとした私の後頭部を掴んで更に深く口付けてきた。結果?もちろん私の惨敗でした。




0813 涼野

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