なくした小指だけ見つめてる | ナノ



「きみはヒロトのおよめさんにはなれないよ」
「なれるもん!!」
「なれないよ、だってヒロトはあのこがすきなんだもん」
「じゃあ私はずっとおよめさんになれないのかな?」
「きみはわたしがもらってあげるからだいじょうぶだよ」
「ほんと?」
「うん、ほんと」
「やくそくする?」
「やくそくする」
「じゃあゆびきりだね」
「うん、ゆびきりしよう」
「わたしふうすけくんのおよめさんになるね、ぜったいだよ?」
「わかってる、わたしもきみのだんなさんになる、やくそく」




ふわり、誰かが頬を撫でた気がして私は目を覚ました。懐かしい夢を見た気がする。小さい頃の夢。幸せだった頃のお日さま園での優しい夢。私は風介くんのお嫁さんになれるって信じてたんだよ。だけど風介くんは居なくなってしまった。私も風介くんが居なくなった後に今のお父さんお母さんに引き取られた。お父さんもお母さんもよくしてくれる。私は今、とっても幸せな毎日を送っている。だけど一つだけ足りないんだ。風介くんだよ。あの頃の私は風介くんが全てだったんだよ。まあ最初はヒロトくんだったけど。それでも今は風介くんが好きだからいいの。でも風介くんは私の隣には居ない。あの約束、まだ有効なのかな。私は今でも風介くんのお嫁さんになるつもりだよ。ねぇ風介くん、どこにいるの?会いたいよ。




0819 涼野

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