little day | ナノ



朝食と同じ要領で昼食を食べて、朝食で慣れたのかすんなりと私のお箸から昼食を食べてくれた斎藤さんを抱えて縁側を歩く。小さくなった斎藤さんに合わせていたら凄く遅くなってしまうので、私が抱えて歩くことにしたのだ。斎藤さんは嫌がっているけれど。

「何故俺が抱えられなければならんのだ」
「まぁ、仕方ないですよ」
「好きでこの様になったのではないのだが」
「まぁ・・・そうですね・・・・」
「何故・・・・・・・」
「運命だと思ってすっぱり諦めちゃって下さい」

そう言うと斎藤さんはふいとそっぽを向いてしまった。ありゃりゃ。すっかり拗ねてしまった斎藤さんの機嫌はどうしたら治るだろうかと、空っぽな頭から色んな案を捻りだして、思い付く。

「あ、斎藤さん」
「・・・・何だ」
「甘味でも食べに行きませんか?」
「・・・・行く」

そっぽを向いたまま言った斎藤さんの言葉に、私は頬が緩むのが分かった。そうと決まれば土方さんに許可を貰おう。そう考えて私は今まで行き先なく動かしていた足に力を入れてまた歩きだした。


「甘味が食いたいだと?」
「そうです」
「・・・その斎藤を連れてか?」
「当たり前です」
「・・・・なまえがか?」
「・・・・・何なんですか、その不安そうな顔」
「いや、何でもねぇが、大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ!!」
「・・・・斎藤をどこかに忘れてきちまいそうだ」
「それ、ひどいですよ!!!」

私が斎藤さんを忘れてくるわけないじゃないですか、と斎藤さんの頭を撫でながら言うと土方さんは複雑そうな顔をする。土方さん、ひどい。

「まぁお前がそこまで言うなら大丈夫か」

行ってこいと、珍しく微笑んで言ってくれた土方さんに、私は精一杯の笑顔でお礼を言ったのだった。




10.11.21

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