little day | ナノ



案外重たい調味料達を持って屯所に帰ってくると、真っ先に平助が迎え入れてくれた。

「ただいまー、調味料これでいい?」
「まじで助かった!!!」

ありがとな、と言ってから調味料を持って勝手場へ行く平助を玄関先で見送っていると腰の辺りに何かが抱き着く感触がした。そっと目をやると腰に斎藤さんが抱き着いているのが見えた。何事だ。

「ど、どうしたんですか?」
「・・・・・」
「さ、斎藤さん?」
「・・・・あんたが、起きたら居ないから・・・・・」

どこかへ行ってしまったのかと思った、そう呟いてさらに強くわたしに抱き着く斎藤さんが愛おしくて仕方がなくなった。私が彼を抱き上げてぎゅうと抱きしめると斎藤さんはなまえは俺の傍から離れるな、なんて彼らしくないことを言って私にきゅっと抱き着いた。

「斎藤さん、可愛いです」
「男が可愛いなどと言われても嬉しくなんかないぞ」
「だって可愛いんですもん」
「・・・・あんたの方が、可愛いだろう」

耳まで真っ赤にして言う斎藤さんを見て私は自然と笑みが零れる。斎藤さんは笑うな気持ち悪い、と顔を逸らして言う。ひどいなぁ。

「ねぇ、お二人さんはいつまでそこでいちゃついているの?」

急に総司くんの声がして、驚いて見ればそこには呆れた顔をした総司くんが居た。見られてたとか恥ずかしすぎる。

「別にいちゃついてなんかないんだけど」
「素直じゃないなぁ」
「・・・総司」
「小さい一君は可愛いねー」

楽しそうに笑いながら総司くんは斎藤さんの頭を撫でる。それを振り払う斎藤さん。何だかかなり幸せそうな雰囲気なんですが。

「子供がいたら、こんなかんじなんだろうなぁ・・・」

つい零した言葉に、二人の目が私をじっと見た。何かおかしなこと言ったかな?

「どうしたの?」
「なまえちゃん、もしかして今の素でいったの?」
「ぇ?あ、はい」
「・・・はぁ」

私が言った言葉、何か間違ってたのかな?総司くんがやっぱり楽しそうに笑っている。それに斎藤さんも溜息ついてるし。あれ?何がおかしいんだ?

「・・・一体何なんですか?」
「なまえちゃんってば天然だなぁ」
「・・・ある意味な」
「どういうことなんですか!?」

総司くんは笑うばかりで何も言ってくれないし斎藤さんにいたってはじとっとした目で私を見つめているだけだ。私は更に話が分からなくなるばかりである。ひとしきり笑った総司くんがお幸せに、と一言言い残して来たときと同様ふらりと姿を消した。何だったんだろうか。

「(まるで子供が欲しい、とでもいうような発言だったな・・・)」
「斎藤さん?どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない」
「そうですか?ならいいですけど」




10.11.15

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