little day | ナノ



ぱちり、目を開けると見慣れた天井が見えた。今日は平助に起こされないで起きれたなぁなんてぼんやり考えてから、ゆっくり身体を起こす。襖を開けて外を見ると随分といい天気で、今日は良いことがありそうだなんて思った。こんなに早く起きたのは久しぶりかもしれない。どうせなら中庭でも散歩しようと思って、私は布団からするりと抜け出す。もそもそと着がえてから、お気に入りの髪紐で髪を縛る。この髪紐は私が所属する三番組の組長である斎藤さんがくれたものだ。お団子を差し入れたときに随分切ってなくて伸びた髪を見て、邪魔だろうからこれで縛るといいと言って私にこの髪紐をくれた。最初は遠慮しつ断ろうとしたけど、団子の礼だと言われて受けとった。今ではこの髪紐がないと不安なのに。髪を縛り終えてから、私が廊下に出ると、ちょうど総司くんにばったり会った。

「おはよう総司くん」
「おはようなまえちゃん」
「総司くんがこの時間に起きてるって珍しいね」
「それは君にも言えるよ?いつも平助に起こして貰ってるよね」
「う・・・」

総司くんは楽しそうに笑って、土方さんのところへ行くけど一緒に行かないかと誘ってくれた。土方さんのところなら斎藤さんも居るかもしれない。総司くんに一緒に行っていいかと聞くと総司くんはもちろんと言ってまた笑った。


土方さんは広間に居た。おはようございますと言えば、おはようと返してくれる。少し嬉しい。そのまま辺りをぐるりと見回すけど、肝心の斎藤さんがどこにも居ない。絶対ここだと思ったのに。

「土方さん、斎藤さん知りませんか?」
「なまえちゃんってほんと一君大好きだよね」
「そ、そんなことないですよ!!」
「ふーん、じゃあ嫌いなんだ?」
「絶対ないです!!」
「ほら、やっぱり大好きじゃない」
「おい総司、あんまりなまえをからかうんじゃねぇ」
「すいませんねー」
「斎藤ならまだ起きてきてねぇぞ。あいつにしては珍しいんだが」
「斎藤さんがまだ起きてないんですか?ほんと珍しいですね」
「どうせなら起こしてきてやったらどうだ?」
「え、私がですか?」
「なまえちゃん、よかったね」
「そ、総司くん!!!」

恐らく顔が赤くなっているであろう私を総司くんが楽しそうにからかいながらケタケタ笑っている。土方さんが隣で深く溜息を吐いて、早く起こしにいけと呟いたので私は顔を赤くしたまま斎藤さんの部屋へと向かった。


斎藤さんの部屋の襖はしっかりと閉じられていて、中からは何の物音もしない。襖越しに呼びかけてみるけど斎藤さんは返事をしない。やっぱりまだ寝てるのかな?私は失礼しますと一言言ってから部屋の襖を開いた。部屋の中に敷かれている布団はまだ膨らみがあるので、恐らく斎藤さんはまだ寝てるのだと思う。斎藤さん、ともう一度呼んでみるけど斎藤さんはぴくりともしない。軽く揺さぶろうと、布団の膨らみに近付いてみて、私はあることに気付く。膨らみが小さいのだ。まるで小さな子供が寝ているかのような小ささに流石の私も違和感を感じた。心の中で謝りながら、私は意を決して布団をがばりとめくって、それから静止。布団には6歳くらいの男の子が眠っていた。まさか、隠し子?でも、斎藤さんに限ってそんなことはないはずだ。だけど、似過ぎている。まるで斎藤さんの幼少期だとでもいうくらい斎藤さんにそっくりなのだ。隠し子でもここまでは似ない、はず。そして私は一つの結論にたどり着いた。斎藤さんが、小さくなった。それだ、それしか考えられない。私は真実を確かめるべくその斎藤さんらしき男の子を起こしてみることにした。

「すいません、起きてください」
「ん・・・」
「すいませーん!!朝ですよー起きてくださーい!!」
「なまえか・・・・?」
「さ、斎藤さん?」
「なんだ・・・・・」
「ほんとに斎藤さんですか?」
「当たり前だろう・・・・・」

そういってちっちゃな手で目をぐしぐしと擦る斎藤さん。どうしよう、本当にちっちゃくなっちゃったみたい。

「斎藤さん、何でそんなに小さいんですか?」
「・・・・何の話だ?」
「手とか身長とか、とりあえずしっかり見てください」

斎藤さんは自分の手を見て、一時停止。そのあと焦ったように立ち上がって、絶句。それから涙目で私を睨みつけながら、いつもよりかなり高めの可愛らしい声で、俺に何かしたのかと言った。すいません、我慢できません。私は堪らなくなって斎藤さんを抱きしめた。私の腕の中でもがく斎藤さんが可愛くて仕方ありません。そのまま抱きしめていると、抵抗しても効果がないと理解して斎藤さんは私にされるがままになった。

「おーい、なまえ?」
「なまえちゃん遅いよ?何してるの」

私の帰りが遅かったからか、平助と総司くんが斎藤さんの部屋に入ってきた。それから私の腕の中の斎藤さんを見てやっぱり固まった。

「・・・誰だよその子」
「もしかして、なまえちゃんと一君との隠し子?」
「・・・・違います」
「まさか一君がちっちゃくなった、とかじゃねぇよな?」
「・・・・平助、残念ながら当たりだよ」

その後、平助が出した叫び声を聞き付けて土方さんや左之さん達が来て小さな斎藤さんとの初対面を果たしました。これからどうなっちゃうんだろう?




10.11.12

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