little day | ナノ



ぱちり、目を開けると見慣れた天井が見えた。昨日に引き続き今日も平助に起こされないで起きれたなぁなんてぼんやり考えてから、ゆっくり身体を起こそうとした。ふと視線を天井から横にずらすと私は布団の中にひとつのあたたかいぬくもりがあることに気付いた。きっと斎藤さんだ。昨日一緒に寝たから。そう思ってちらりと布団の中を覗いた私の網膜に飛び込んできたのは、小さくなんかないいつも通りの斎藤さんだった。戻れたんだ、そう思って私が小さく安堵の溜息を吐くのと斎藤さんの綺麗な瞳がぱちりと開くのはほぼ同時だった。しばらくぼーっとしていた斎藤さんは私を見て目をまんまるにした。

「・・・・・なまえ」
「はい?」
「なんであんたが俺の布団に居るんだ」
「斎藤さんの布団じゃありませんよ、私の布団です。斎藤さん、昨日のこと覚えてないんですか?」
「・・・・・いや、今思い出した」
「そうですか。戻れてよかったですね!!」

斎藤さんに笑いかけると斎藤さんは珍しく頬をほんのり赤くして、ふいっと目を逸らした。やっぱり小さくても大きくても、斎藤さんは斎藤さんだ。私がにこにこ笑っていると斎藤さんは静かに口を開いた。

「ちょっと聞いてもいいか?」
「はい、何でも聞いて下さい!」
「そ、その・・・・・・あんたは俺が、すすすすきなの、か?」
「はい!?な、何でですか!?」
「い、いや・・・昨日寝言で俺のことを、その、すきだと・・・・」
「え、私言っちゃったんですか!?」

斎藤さんは無言でこくりと頷いた。まだ一緒の布団のなかに居る私達の距離はどことなく近い。私は寝言でうっかり斎藤さんへの気持ちを漏らしてしまったことと、予想以上に近い距離にどきどきしてしまう。ああ、もう!どうにでもなっちゃえ!!

「はい、私は斎藤さんが好きです」
「本当か・・・?」
「すいません、迷惑ですよね」

出そうになる涙をこらえて私は今まで向き合って寝転んでいた体を斎藤さんとは逆に向けた。あーあ、絶対フラれるじゃん。わたしのばか、言わなきゃよかったのに。そう考えてはだんだん暗くなっていくわたしを、斎藤さんは後ろからぎゅうと抱きしめた。

「なん、で・・・・・」
「俺も、あんたが好きだった」
「うそ・・・・」
「嘘じゃない」

だって、そんな、こんなことありえるはずないじゃない。斎藤さんがわたしをすき、なんて。真意を確かめる為に涙でじんわり濡れた瞳でじっと斎藤さんを見ると、斎藤さんは溜息をひとつ吐いて一言目をつむれと言った。斎藤さんに逆らえるわけないわたしは素直に目をつむる。しばらくして、一瞬だけふにっと何かが唇に当たって、びっくりしたわたしが思わず目を開けると目の前にはドアップの斎藤さんの顔があった。

「・・・・目をつむれと言っただろう」
「・・・・・びっくりしたんで」
「・・・そうか」

これで分かっただろう、そういってまた目をそらす斎藤さんをみてわたしは思わず斎藤さんに抱き着いたのだった。斎藤さんとわたしが過ごした不思議な一日はこれでおしまい。




11.02.21


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