little day | ナノ

※斎藤さん目線



ぱちり、目を開けるとすぐ目の前になまえの顔があって驚いた。そうか、俺は今小さくなっているんだ。そうぼんやりと考えながら目の前にある顔をじぃと眺めた。長い睫毛に真っ白で綺麗な頬、すこし開いた淡い桃色の唇からは一定のリズムで小さな吐息が零れ落ちていて、なまえが生きているということを俺に知らせている。それにしても、今日は一日とても大変だった気がした。まさか自分が小さくなるなんてありえん、そう思いたくて何度目をつむったことか。目を開けても見えるのはいつもより大分低い目線での世界で、俺はその度こころからの深い溜息を吐くのだ。だが、何も困ったことだけではなかった。今日過ごしたなまえとの意味のない一日は、思ってもみない休息を俺に与えていたらしい。おかげで気分はすっかり良くなった。日頃の疲れが溜まっていたのかもしれない。悶々と一人考えていると、なまえが少し身じろぎをして、ぽそりと何かを呟く。俺の耳にはそれが明確に入ってきて、思わずびくりとしてしまった。斎藤さん、大好き・・・なんて、都合のいい耳なんだ。自分の聞きたかった言葉がその唇から紡がれるとは、予想だにしていなかった。嬉しくないと言えば嘘になるが、あいにく寝言を言ったなまえは夢の中だ。まぁ真相は明日聞けば分かることだ。起きませんように、知られませんように、そう願いながら俺はその唇に小さなキスを落として、また眠りについた。




11.02.07

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