僕と君の七日間 | ナノ


いつもより早く起きてしまって、特にすることもなかったので俺はいつもより早く家を出た。少し時間が早いだけなのに空気はすごく新鮮で、朝からいい気分になる。遅めのペースで学校までの道を歩いていると、最近よく話すようになったみょうじの背中が見えた。ちょっとだけ速く歩くとその背中にすぐ追いついてしまって、どうせならびっくりさせてみようだとかそんな俺らしくもないことを考えながら彼女の肩を叩こうとすると、いきなり彼女はくるりとこちらを向いた。びっくりした。


「あ、やっぱり風丸くんだ」
「なんで俺だって分かったんだ?」
「何となくかな」
「何となくなのか」
「凄いでしょ」

にっこりと笑うみょうじにつられて俺も嬉しくなってしまった。なぜだか分からないけど、みょうじが嬉しそうだと俺も嬉しいし、みょうじが悲しそうだと俺まで悲しくなってしまう。他の奴なら何とも思わないのにな。どうしてだろうか、そう考えているとみょうじは小さくあっ、と声を漏らした。

「どうしたんだ?」
「今日、日直だ」
「そうなのか?大変だな」
「多分だけどね、風丸くんとだよ」
「え、俺と?」
「うん、多分ね」


また少しだけペースを早くしてようやく学校に到着。教室の後ろの黒板の日直欄にはみょうじと風丸の字があって、いつもなら日直なんてめんどくさいだけなのにみょうじと一緒なら不思議とめんどくさいだなんて思わなかった。むしろ嬉しいかもしれない。みょうじが一緒に頑張ろうねって、またきらきらした笑顔をしたりするから俺は弾む気持ちであぁと返した。




「日誌ってめんどくさいね」
「そうだな」

夕方の教室、俺とみょうじは二人きりだった。ちゃんと戸締まりして、黒板も綺麗にした。あとは日誌を書いて日直はおしまい。ちょっと惜しいなんて思った。俺は席について日誌を書くみょうじの前の席の椅子に後ろ向きに座って、ただみょうじが書く字を見つめていた。みょうじの書く字は綺麗だけどどこか可愛らしい字だった。字上手いな、と言うとみょうじは一瞬きょとんとした顔をして、それから恥ずかしそうにそんなことないよって笑った。みょうじの書く字をただただ見つめていたら急に字を書く手がとまって、どうしてだろうとみょうじの顔を見ると俺を見ていた。それから一言、風丸くんってとっても髪綺麗だね。

「そうか?」
「うん、何かしてるの?」
「特には何も」
「いいな、羨ましいや」

みょうじは持っていたシャーペンを机の上に置いてから、俺の髪を撫で、た・・・?思わず固まってしまった俺なんて気にしていないかのようにみょうじの指が俺の髪を滑る。ちょっと嬉しそうなみょうじと目があう。みょうじはすっと目を細めて綺麗だねって言ってから、また何事もなかったかのように日誌を書き始めた。みょうじに髪を触られたということを考えただけで顔が暑くなる。何なんだ、何なんだこれ。なんで、こんなに顔が、身体が、熱いんだ?ちらりとみょうじを見ると少しだけほっぺが赤かった。俺も多分、まっかっかだ。そしてそれは夕日のせいなんかじゃないと思う。




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