私は、君を見ると動悸が増す。息切れも激しくなる。落ち着かなくて、意思とは関係なく眼がそっちを向いてしまう。君には私に対する発汗作用があるらしい。だって、君が近くに居るだけで体温が上昇して頭部の前面が赤く染色されていく。そして決まって何故だか、涙腺から液体が分泌されそうになる。
私はつい最近この感情の名称をしった。そうか、これが特定の異性に強くひかれ切ないまでに深く思いを寄せるということか。それなら今までのも全て理屈で説明が付く。俗にいう『恋愛感情』『恋慕』か。

思い立った日が吉日、と言うわけでは無いが口伝で君にこの感情知らせよう。
あの時は凄かった。熾烈なほどに動悸は激しく、口内は乾燥する。とりあえず

「君に恋慕の情があるみたいだ。」

の一言だけ咽喉から君の元へと引力が働いているかのように出ていった。冗談だが。そんな引力のようには簡単に出せていない。それに生命活動を行うもの達の間には引力は働かない。
君が意見を陳述するのを待機する。よくこういう事態のときに実際に流れた秒数はたがが数十に過ぎないのに何十分、何時間に感じると言うことが陳腐な恋愛小説であるがそんな事は無く私の体内では動悸が激しいだけで流れる時間は正確だ。

「あー…好きって事?」
「恋慕の情だと言っているだろう」

この青年は少し知能が劣り愚からしい。こんな青年のどこを好んだかと聞かれれば、雰囲気だ。喜色満面だ。まるで華のような、私とは違う。きっと今を例えで表現するなら君は知能を中心的に見れば崖に咲く華だろう。その華を掴む事はできないと知っておきながら母指対立筋から小指外転筋までを痛めようが、上腕二頭筋や橈側手根屈筋が吊っても無様にその華に触れようとしている脊椎動物門哺乳綱霊長目ヒト科が私だろう。

「・・じゃあ付き合おう?」

これには度肝を抜かれた。いや、先に伝えたのは私自身なのだが。まさかその華に触れられるとは思ってもなかった。これはあまりの衝撃に足を踏み外し体の上端の部分から落下してもおかしくは無い。寧ろもしそうなったら私は華を大事に自分の首と腹の間の部分で抱きかかえそのまま堕ちて行くだろう。
そして血管系内を循環している体液が流れ落ちる私の中でその華だけは綺麗に咲かせるだろう。
たとえ全身の骨と言う骨が複雑骨折しても、魂が肉体から離れても、その華だけは・・・。

そんな事をしばし黙考していたら共に途中地点まで帰ろうと誘導されたので承諾した。そのときに不意に手首から指の付け根にあたる部位を捕まれたので私の体温はまた上昇した。
ふと青年の方を見てみると、青年もまた私と同じように頭部の前面が赤く染色されている。
たかが皮膚と皮膚が接触しただけなのにこんなに動悸、息切れが激しくなるのなら口腔の入り口を囲む薄い皮に覆われた部分の皮膚と皮膚が接触、まあ俗に言う接吻なのだが。もしそういう行為に至ったらそれこそ私は息切れがより激しくなり呼吸困難で魂が肉体から離れるかもしれない。寧ろ青年も私と同じなのなら朽ちる時は共にということだろうか。

君が私のほうを見てまた、喜色満面するから私の頭部の前面はより赤く染色される。
私が、君の手首から指の付け根にあたる部位に対し手の指全部を内側へ曲げてみると、青年の鼓動が聞こえた。ここまで聞こえるのならかなり激しいはずだ。

君と私、先にこの恋慕感によって生命を絶たれるのはどちらだろうか?


このが君をすまで
                (でもきっと先に殺されるのは私、)




拝借。*確かに恋だった http://have-a.chew.jp/on_me/
    *空に咲く花 http://sky.itigo.jp/









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