君が、私の事を好きじゃないことくらい知っていた。
それでも良いかと聞いたのは君、
それでも良いと言ったのは私。
それくらい知ってる。

ただ、それが辛く思えてきたのは
ただ、それが嫌に思えてきたのは
一体いつからだったのだろうか―――――――?


「ねえ、君はさ、今あの子と私どっちが好き?」

唐突に質問してみた。豆鉄砲を食らったような顔をして私を見る。
…結構傷つくんだけどなあ。

「………」

暫く続く沈黙。
君は何も言わずに私の眼を見て自分の隣の場所を叩く。
…横に座れって言うことだろうか。
何も言わずに隣に座る。
すると次は君が自分の肩を叩く。きっとコレは『頭を肩に乗せて』のサイン。
その通りにすると優しげな笑顔を見せる。
でも私は知ってる。その君の眼は私を見ていない。
私に触れるとき、私の頭を撫でるとき、私を抱くとき、私を通して見てるのはアノコ。

何も言わずに君が頭を撫でるから私はもう何も言えなくなる、
好き、なんだけど、辛い。
『それでもいい』と私は言った。でも、実際はとてつもなく辛くて。

「あの、もう1回聞くけど…きみ、は…?」

君かそっと私の頬に触れる。ああ、まただ。またそうやって君は私にキスをするんだ。
そしてまた、うやむやにされるんだ。


しずかにわらってキスでごまかす
               (それで誤魔化されるのは君が好きだから故、)





拝借。*しるかぎりのことばを http://homepage3.nifty.com/azoth/f/index.html












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