恋人ならば手を繋ぐべきだよ。と言い出したのは喜界島だった。その場にいた生徒会メンバーは喜界島にどうした、と首を捻った。しかし喜界島はそんな空気を意に介さず、善吉と阿久根に向かって指を指し、先程と同じことを言った。善吉と阿久根は呆気に取られ、めだかはふむと何故か頷き、球磨川ははしゃぎ出した。阿久根が善吉より早く正気を取り戻し、喜界島にぎこちなく笑いかける。
「あの、喜界島さん?いきなりどうしたのかな?」
 阿久根のぎこちない笑みに気付かないまま、喜界島は頬を膨らました。拗ねないでほしい。
「だって、阿久根さんと人吉って恋人って言う割にはあんま仲良くないから……」
『確かにねそうだね!喜界島さんの言う通りだ!』
 喜界島に優しい球磨川までもが言う。阿久根は頭を抱えた。面倒臭い。善吉のほうを見れば、同じような顔をしていた。まずい流れになっている。阿久根は嫌だなと思った。ばちん、と扇子を開く音がした。見れば、めだかが阿久根と善吉を交互に眺め、再びふむと頷いた。
「そうか。そうだな、恋人ならば、手くらい繋ぐか」
「いや、あの、めだかさん?恋人だからって必ず手を繋がなきゃいけないなんてことは無いんですよ?」
「しかし、せっかくの喜界島会計からの提案だぞ?」
「めだかちゃん……」
 力なく善吉が名前を呼ぶが、もはや意味はない。
 結局、盛り上がる喜界島と球磨川、そしてどこか興味深そうなめだかに後押しされ、阿久根と善吉はその日の帰り道に手を繋ぐはめになった。二人はなんで男同士で仲良く手を繋がなければならないんだとうんざりしつつ、帰路を辿った。



らしくってよ
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