休みになると約束もしていないのに青峰と火神は自然と外で会い、そしてそのままずっとバスケをするという日々が続いていた。これにはお互いが気持ち悪いというくらいには気が合いすぎていて、けれどお互いが満足出来るような相手などそうそうおらず、やはり二人はバスケをすることになった。何はともあれ、バスケが出来れば不満など無いのだ。
 1on1をすると、だいたい青峰が勝つ。そのたびに火神は汗をびっしゃりかきながらももう1回と勝負を持ち掛ける。そんな火神の姿に、バスケを楽しむってこうだよなと青峰はにんまりと笑い、いつでも動けるように状態を整えておいた。なんせ、青峰は試合では火神に負けたのだ。手を抜くなど出来るわけがない。
「お前元気だな」
「ったりめーだ!お前を負かすまでは、まだやるぞ!」
 ギラギラとした目に思わず苦笑してしまう。こっちなんて、次に試合する時に負かすまで気が気でないというのに。けれど、こんな火神だからこそ青峰は気兼ねなくバスケが出来る気がした。
「おい、火神」
「なんだよ」
「お前確か、料理できんだよな」
「あ?まぁ、一応」
 その言葉の後、ダムダム、と青峰がドリブルを始めた。一瞬で火神は青峰に追い付く準備をする。しかし青峰はあっさりと火神を抜き、シュートを決めた。リングが大きく揺れる。火神は素直に、すげぇ、と青峰を尊敬した。青峰はボールを取りに行き、火神へ投げる。
「今日俺に1回も勝てなかったら、次からは弁当作って来いよ」
「は?……いやいや!ぜってー勝つからな!つか、弁当くらい言われたら作って来んのに」
 ボールを受け取り、火神はあっけらかんと言い放った。青峰も火神がそういう人間だというのはなんとなく分かってはいるのだが、自分へのモチベーションとして、先ほどのようなことを言ったのだ。ただし、火神にはそんなことを伝えることもしない。
「ハッ、勝てたらいいな」
「まじぶっ倒す!」
 そう、それくらいがいい。それくらいの闘志が、青峰には居心地がいい。青峰はにんまりと笑った。楽しくて、仕方がないから。



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