昔から怪物を使役するのが夢だった。けれども怪物だなんてものは架空の世界にしか存在しないから、代わりになるような動物たちを使役していたが、やはり心は満たされることはなかった。自分が賢いとわかってしまうと、馬鹿な真似がどんどん出来なくなる。周りも認識していたら尚更のこと。だから僕は怪物のことを諦めていた。怪物ではなく、人間を使役しようしていた。そんな時だったのだ。
「敦はね、僕の夢を叶えてくれたんだよ」
「俺が?」
 始めてみたときは人間だなぁと思っていた。だが、それから眺めているうちに、彼は人間などではなく怪物だということに気付いた。圧倒的なまでの強さ。弱さを理解できない残念な頭。人を理解しない人間らしかぬ心。人間離れした身体。僕は歓喜した。素晴らしい!なんて素晴らしい怪物なんだ!僕はすぐに怪物を使役した。それが敦だ。僕だけの怪物。
 そんな敦が、先程の僕の言葉に喜ぶ。敦への餌だ。
「俺みたいなのが赤ちんの役に立ったなら、嬉しいし」
「敦は素晴らしいよ」
 敦は笑う。僕に誉められたから笑う。みんなが恐れる怪物は、こんなことで手懐けられるのだ。僕だけの特権。ああ、お前は本当に素晴らしい!



優越感に恋をする
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